春彼岸の入り


コラム挿絵:桃の花のイラスト

3月18日は春の彼岸の入りです。2日後の20日が「お中日」、22日が「彼岸明け」ということになります。彼岸といえば「彼岸花」を連想する方もおられるかもしれませんが、彼岸花(曼殊沙華)は秋彼岸の花で、春には咲きません。春の彼岸花というのは、とくに決まったものはないようです。お墓に供える花としては、トルコキキョウ、菊、カーネーション、アイリス、ガーベラ、スターチス、牡丹、ストック、スイートピー、フリージアなどがオススメだそうです。洋花が多いのが最近の特徴です。明るい色で、長持ちすることが選ばれる理由のようです。和風の花としては、キンセンカが一般的です。とくに花の限定もないので、桃の花、早咲きの桜などでもよい、と思われます。もっとも最近では、お墓の供花はカラスなどの鳥に荒らされることが多く、後始末が大変なので、墓参りがおわったら、お供えのお菓子などと一緒に持ち帰ってほしい、という希望が墓地側から出されているので、自分の好きな花、故人が好きだった花、そのまま自宅で飾れるような花、などが選ばれる傾向にあるそうです。仏花として、和風でも洋風でもお参りの花に使いやすい春の花といえば、ストックです。枝分かれしているスプレー咲きと、1本すっと長いスタンダードタイプがありますが、仏花で重宝されるのはスタンダードタイプです。色も、淡い色からビビットなピンクや紫まで幅広く、菊に合わせるもよし、洋花でまとめてもよし、ということだそうです。また春の花の代表格であるスイートピーもいいですね。菊を束ねた一般的な仏花に、1本添えるだけで春らしさが加わります。紫・ピンク・黄色など、色味も豊富。洋風の花だけでまとめるのにも人気だそうですし、小さなお墓に少しずつ供えるにもお手頃な値段なので重宝されているそうです。春らしい花で品があり、大人っぽくまとまるフリージアもお墓参りの花に人気。菊などの和花とも相性抜群です。つぼみは徐々に咲いてきますので、お供えしたあとも長持ちします。香りが良いので、春らしいお参り花におすすめです。また、枝ものを入れた仏花というのも季節感があって良いものです。春彼岸のころはまさに切り枝のサクラが旬で、彼岸桜や啓翁桜など、切花用のコンパクトな枝ものが多く出回っています。普通のお参り花に1本添えるだけで、お花見仕様のお参り花になります。また、白い花が雪のように咲くユキヤナギも春彼岸のお参り花に合っています。雪柳を1本入れるだけで品よく華やかにまとまります。お花は1種類だけでなく、数種類をうまくまとめると、とても見栄えのよいお供えになります。墓石は無彩色の石だけなので、お花を供えることで、一気に華やかになります。墓場というと陰気な感じになりますが、最近は墓苑というようになり、家族が年数回、ピクニック気分でお墓参りをすることは、宗教的な意味があるにしても、素朴な家族愛の表現ですし、僧侶による読経も必要に応じてすればよいものです。むしろ、気軽な訪問こそ、ご先祖様も喜んでくださると思われます。それこそが彼岸の本来の意味ですから、様式が時代と共に変わることも自然なことです。

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