国境の町


十三夜の月のイラスト

ツーソンからはフェニックスを通過して、I-40に戻れば、ルート66になるのですが、同じ道ではなく、I-8に進路を変えて、サンディエゴを目指し、そこから北上して、ロスアンジェルスに帰るルートを選択しました。メキシコとの国境近くを通ります。陸続きですから、メキシコからの移民や観光客も多く、メキシコ風の景色も増えます。今では不法移民が増えて、アメリカ政府は国境を厳しくしているそうですが、陸続きなので、実際はなんとかして越境しようとする人々が今も続いているそうです。実数は不明なのですが、逮捕者数がバイデン政権下で1カ月に1万人、トランプ政権下ではその6倍以上ということなので、総数になると1千万人という説もあるくらいで、そうした人々は当然、都市を目指すわけですから、大都市の治安が問題になるのも当然の結果といえます。

何も持たない人々が仕事もなく、集まって来るのですから、その対策費用も莫大です。大きな政治問題になるのも当然でしょう。私たちがドライブしていたのは1980年代初頭ですから、当時も不法移民もあったと思いますが、それほど深刻な社会問題にはなっていませんでした。メキシコから国境を越えて、アメリカ側でひと稼ぎしては、メキシコ側の家に帰る、というような生活をしていたようです。メキシコはアメリカより物価が安かったので、出稼ぎのような感覚だったのでしょう。問題になってきたのは、メキシコに中南米などから大量に移民がやってきて、彼らは最初からアメリカ移住を目的としているようになってからです。この「出稼ぎ」と「移民」では意味が大きく違います。

45年前の米墨国境は、まだのどかな時代で、国境の町はいわゆる「双子の町」で、半分がアメリカ側、半分がメキシコ側になっていて、レストランやお土産屋が多く、観光客相手の店がほとんどでした。これは今でもどこの国境の町でも見られる現象で、本来はうまく共存してきたのですが、移民が急増すると、そこが関所になるわけですから、雰囲気もがらっと変わります。治安も悪くなり、観光客も減りますから、経済も悪くなります。当然仕事も減るので、移民はさらに別の町へと移動していくことになります。以前からそこに住んでいる人々は移民と諍いを起こすことも増え、旧住民が移動することもよくあります。そうなると、ますます経済と治安が悪くなるという悪循環になります。こういう移民問題は、アメリカという国の宿命のようなもので、今でこそ中南米などからの移民を問題にしていますが、そもそもアメリカという国は移民の歴史です。植民地時代に、まずスペイン、次が英仏などからの移民が増え、まず欧州人と先住民の戦いがあり、次が欧州人同士の争いに先住民が巻き込まれ、最終的に英国系が勝利して英国領となり、それが本国から独立してできたのがアメリカ合衆国です。その「建国」から250年経つのが今年です。結論をいえば、身もふたもないのですが、戦いに勝ったものが生き残る社会ということです。そのDNAは今も残っているのかもしれません。

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