雨水
2月19日、旧暦1月19日は二十四節季の雨水(うすい)です。同じ漢字ですがアマミズではありません。1月4日から立春となり、15日間が過ぎて次の節季に入ります。意味は雪が解けて雨になる、それだけ春が進むということだそうです。実際にはまだ雪も降る地域が多いのですが、確かに春の訪れを感じさせる自然現象が見られます。昔の人はこうした小さな変化にも敏感に反応して楽しんでいたのですね。
冬は乾燥が進みますが、この時期に降る雨は養花雨(ようかう)といい、草花が育つ恵みの雨となります。天気予報では花粉情報などが出てくるように、植物は活動を始めます。この時期に咲く花としては、梅はすでに咲いており、椿、猫柳、木瓜(ぼけ)、雛菊が知られています。普段あまり気にしていなくても椿は目立つので気が付く人も多いでしょう。実は油分が多いので、昔は鬢付け油として重用されていましたが、今ではお相撲さんくらいです。食用にもなるので地方名産として売られています。猫柳や木瓜なども時々民家の庭に咲いているのを見かけます。やや地味な花なのですが、花言葉は猫柳が「自由、親切」と優しい感じですし、木瓜は「先駆者、指導者」という力強い意味があり、見かけによらずいい意味になっています。木瓜は小さな実がなるのでジャムなどにして食用にすることがあります。木瓜は家紋としても知られており木瓜紋(もっこうもん)といいます。ボケモンではないので恥をかかないようにしてください。木瓜紋は祇園社の神紋であり、この紋の形がキュウリに似ていること、また木瓜はキウリとも読めるため、祇園祭にはキュウリを食べてはいけない、という風習が残っています。木瓜紋はいろいろ変化形があります。家紋は今日ではあまり重要視されませんが、優れたデザイン性が海外では評価されていますから、改めて我が家の紋を調べてみてはいかがでしょうか。とくに和装の場合、紋付というように紋が家を示します。家長制度の名残りだとして、世間では家という概念も捨てられてしまった感がありますが、自分が初代と思えば自由に紋が選べばよいのです。
こんなことを考えながら、民家の木瓜を眺めるだけの余裕がもてれば、もうすぐ来る春を心待ちしつつ、季節の移り変わりを楽しめればボケが来るのは遅くなるかもしれません。
雨水の頃になると雛菊も咲くようになる、という情報もありました。英語ではdaisyといい、欧州では比較的よく見る花ですが、日本ではあまり見なくなったような気がします。元々日本原産ではなく明治時代に輸入された洋花なので流行らなくなっただけかもしれません。
雨水にはとくに行事はないようです。旬の食べ物としては春の野菜で、独活(うど)や菜の花など、最近では明日葉などが好まれているようです。もっとも最近はビニールハウス栽培で旬という感覚がなくなってきましたから、拘る必要もなくなりました。
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