発明の日
発明の日というのがあるそうです。「明治18年(1885年)4月18日に、初代特許庁長官を務めた高橋是清らが現在の特許法の前身である「専売特許条例」を公布し、日本の特許制度が始まりました。これを記念し、昭和29年(1954年)1月28日に、通商産業省(現在の経済産業省)は、特許制度をはじめとする産業財産権制度の普及・啓発を図ることを目的として、毎年4月18日を「発明の日」とすることを決定しました。」(特許庁)ということですが、発明の日を知らない人が多いでしょう。
特許法2条では最初に「「発明」とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう。」と定義しています。つまり高度でないといけない、といいます。
そして第3項に具体例として物(プログラム等を含む)、方法を挙げています。
「発明とは何か」というのは例えば国語辞典では「1 今までなかったものを新たに考え出すこと。特に、新しい器具・機械・装置、また技術・方法などを考案すること。「必要は―の母」「蒸気機関を―する」2 物事の道理や意味を明らかにすること。明らかに悟ること。」(https://dictionary.goo.ne.jp/発明)としていて、特許法とは違っています。ここに世間とお役所の違いが顕著に表れています。世間では新製品などが次々と発明され社会生活を豊かにしていますが、必ずしも特許はとっていません。真似されて類似商品がでてきて損害を被る危険性がある時、企業は特許をとって、他人に作らせないようにします。それが特許権という独占的で排他的な権利の保障です。この権利は諸刃の剣でもあり、発明者が特許を申請せず、模倣した者が特許を取得した場合、発明者が生産できないという不合理な事態が生じます。発明者は「ボーっとして生きていてはいけない」のです。しかし市井の発明者の多くは発明することに興味があって、「世間様に使ってもらえばうれしい」という人も大勢いますが、役所はそういう人々を保護してくれません。実際、特許申請にはかなりの労力とコストがかかります。日本は欧米に比べて特許数が少ないからといい、教育に力を入れるとか起業に力を入れる政策を進めていますが、そもそも世間にある「小さな発明」という種(シード)を育てることをほとんどしていません。「儲からない発明」に企業は興味がなく、よく学生によるコンテストや主婦の発明などの一部が商品化されるにすぎません。つまり特許法にいう「高度」という限定が発明そのものを阻害しているという自己矛盾の原因です。特許は実際、裁判も多く、それは排他的独占権が営利と直接に結びついているからです。日本は多くのライセンス料を外国に払っている一方で、技術が簡単に盗まれているという問題に対して無策に近い状態になっているのは、特許は各国が定める、という範囲が限定的であることを特許法は解決していないからです。
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