春は地面の下から始まります。啓蟄(けいちつ)はその瞬間を切り取った節気です。啓は「ひらく」、蟄は「こもる」。土中に潜んでいた虫が戸を開くころ。例年三月五日ごろ、太陽の黄経が三百四十五度に達する時点を基準に定められます。詩的な響きをもつ言葉ですが、暦とは、宇宙と生活を同期させるための装置なのです。この頃、日本では梅が香り、土はゆるみ、地面の奥から小さな生命の気配が立ち上がります。七十二候では「蟄虫啓・・・
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