改元
8月16日は旧暦7月13日です。この日はある意味特異日で、元号の改元が何度も行われました。
貞元元年(ユリウス暦976年8月11日) - 天延より貞元に改元
万寿元年(ユリウス暦1024年8月19日) - 甲子革令のため寛仁より万寿に改元
天永元年(ユリウス暦1110年7月31日) - 彗星の出現にため天仁より天永に改元
永久元年(ユリウス暦1113年8月25日) - 天変、怪異、疫病、戦乱などのため天永より改元
元和元年(グレゴリオ暦1615年9月5日) - 後水尾天皇の即位に伴い慶長より元和に改元
となっています。天皇の即位によって改元があるのは、当然であり、明治以降はそうなりましたが、江戸時代までは、天変地異や人心を変えるための改元がありました。その他にも、天命が改まり、徳を備えた人に天命が下される革令年、変乱の多い年とされ、それを「甲子革令」といいいます。(wikipedia)日本の平安時代以降、それを防ぐ目的で甲子年には改元が行われました。明治以降は「近代化」のせいか、「迷信の廃止」のせいか、天皇即位以外の理由の改元がなくなりました。以前は、天変地異は天子の責任という理解が共有されていた文化ですが、明治はその伝統を捨て去りました。一方で天皇の神格化という矛盾した政策をとっています。天子様が天の神様であれば、天変地異への責任?があると考えるのは自然な論理です。天変地異は人智を越えた、つまり人間にはどうにもならない自然現象ということですが、それに対応するには、龍神に雨乞いするとか、物の怪退治をお願いするとか、神官や祈祷師を通じてお願いするしかなかったわけです。今では疫病や戦乱は天にお願いするものではなく、人間が努力して解決する、というのが風潮になっていますが、実際には厄除けのお札が売れたり、千羽鶴を折って祈願するなど、形が変わった祈祷が行われています。明治政府が近代化しようとして廃止した「迷信」が今も続いているのは、「迷信」は文化に根付いたものであり、人心までは政治が変えられないことの証左ともいえます。今年は正に天変といえる、地震、大雨などの天変があり、世界のあちこちで戦乱があり、その影響で日本の日常生活も大きな影響を受けています。少し前にはパンデミックという疫病の蔓延もありました。日本がガラパゴス島のように、世界から隔離されて生きている時代は過ぎ去りました。移民も多くなり、文化衝突も増え、株式市場のような経済も外国資本の影響下にあります。そして今年は外国でも日本でも「選挙イヤー」といわれるくらい、重要な選挙が重なっている年です。そして実際、政権の交代が起きています。昔なら「改元」の条件が揃っていますが、そういう意見はまったく出てきません。改元は明治以降に封印された政策なのです。しかしそれならば、人智によって、それに代わる政策が必要なのですが、それはありません。天変地異や疫病、戦乱による災害の防止や被害の減少への施策は少しづつ進んできたものの、いまだに被災が多いのは、政治の責任です。庶民が迷信に頼ることがなくなるのはいつでしょう。
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