誤発音



日本英語には英語の原音とは違う読み方をする語がかなりあります。それは「英語が読める」昔の知識人が現地での発音を知らないまま、カタカナ語をして広めてしまったものがほとんどです。ハーブはherbであり、カタカナで書けば「アーブ」です。イギリスにいけばハーブ栽培も盛んで、ハーブガーデンがあちこちにあり、そこではハーブ・ティーを飲むことが日本人の憧れみたいになっていますが、これらはすべてアーブと発音しないと「訛った」みたいに受け取られ、せっかく気取ってみたものの、大失敗ということになります。もっとも、こういうsilent hのような書いてあるのに発音しない語はイギリス英語にはよくあるので、アメリカ英語はそれらを発音する人が増え、イギリス人からすると「訛った英語」であるアメリカ英語が広がっている現在、「書いてある通りに発音する」アメリカ英語が国際標準になる可能性は高いです。英語をきちんと習った身として、テレビでアワードというのが気になります。賞という意味のawardはカタカナでかけばアウォードです。誰か「英語を知らない」テレビ関係者が広げたテレビ用語なのかもしれませんが、いつの間にか広がっています。誰でも知っているwantをワントと読まないようにwaでウォと読むことはそれほど不規則なことではありません。これはいわゆる「ローマ字読み」の影響かもしれません。英語のwant to の省略形であるwannaは普通に言えばウォナですが、アメリカ人の俗語、とくにミュージシャンなどでは外国籍や移民も多く、ワナと発音する人もいます。それが「かっこいい」と思った日本人がワナという発音をしてるケースもありますから、これからワナが広がるかもしれません。この用法では文法も変わり、want toという不定詞用法ではなくなり、wannaという助動詞のような使い方になります。I can do.  I would do.と同じようにI wanna do.というので、動詞に先行する助動詞と似てきます。しかしCan you do?と言えるのに対し、Do you wanna do?は言えてもWanna you do?は言えないので、まだ変化途中かもしれません。Waをワと発音するのは、たとえば前方forwardはフォワードといいますし、なぜawardだけアワードなのか、不思議な現象です。ここまで広がってしまうと、もう訂正できないかもしれません。事実、これは誤音だというと、反論してくる人もいる始末ですから、「みんなが間違えば、それが正しい」ことになってしまいます。反論は「テレビではどこでもアワードと書いている」いうもので、個人の言うこと信じてもらえない状況です。マスコミが言語に与える影響は大きいです。他にもシロップの英語はsyrupでシラップが近い発音です。またcupのようにカップとコップが使い分けられている例もあり、日本では取っ手のある陶器がカップ、細長い取っ手のないのがコップみたいなイメージがあります。ガラス製だとコップとグラスに分かれますが、使い分けは微妙です。英語のuの音は日本語のアとオの中間のような音なので、英語を知らない昔の庶民が聞いたままオにしたのかもしれません。それで古い外来語にその傾向が見られます。

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