宿題の日
8月31日といえば、夏休みの宿題に悩む日の人が多いようです。ギリギリにならないとやらないという性格の人が多いのは世界共通かもしれませんが、何とかしようとがんばるのは日本文化といえそうです。諸外国の人はこういう状態になっても、やらないか、締め切りなど無視している文化が多いのです。外国との取引で「納期」という日本では当たり前の商行為が、当たり前でない国が圧倒的に多いのです。日本人の納期を守る、という習慣はもしかすると、小学生時代の夏休みの宿題提出という「訓練の成果」かもしれません。そもそも夏休みに宿題が出る国は多くなく、禁止している国もあるくらいです。そして普段でも宿題を出すことはほとんどないのが世界の教育傾向です。「なぜ宿題をしなければならないのか」という素朴な疑問は子供なら誰でも抱く疑問なのですが、それに明快に答えられる大人はいません。教育の専門家の間でも議論が分かれていて、意義を認める人と不要論を唱える人に分かれています。日本の国家はどう考えているかというと、教育基本法や学校教育法、学習指導要領にも宿題という言葉は出てきません。つまり国は「先生と学校の自由」と決めていることになります。言い換えるなら、学校と先生が勝手に宿題を決め、習慣化させているのだといえます。学校や先生が宿題を出す理由と動機は、調査によれば夏休みなどの長期休暇で遊んでばかりいると、「学習習慣がなくなる」、「遊び癖がつく」などだそうです。しかし実際には児童・生徒は宿題を楽しくやることはなく、部活や塾が忙しくて、宿題をやる時間がなく、最終日の「納期前日」になって、親を巻き込んでのドタバタになっています。よくある夏休みの宿題に「読書感想文」がありますが、普段、読書の習慣のない子にとって、そのためだけに読書して感想文を書くなど至難の業です。漫画を読んで感想を述べるだけなら、きっと簡単です。読書は活字の本に限定する理由も不明確です。実際、歴史や科学、創作に満ちた作品も多く、今日では子供だけでなく大人も漫画を読んでいる時代なので、漫画を読書対象からはずす根拠がよくわかりません。感想文にしても、文でなく漫画で描くとか、イメージを音楽にするなど、幅広い反応に拡大すれば、楽しく宿題をこなす子供もいることでしょう。それでも苦手な子供もいることが考えられます。強制してはかえって学習動機を失わせます。長期の休暇がある場合、ボーっと毎日過ごす子はいません。むしろ「どっか行こうよ」とか、何かしたがるもので、親がそれに対応できる時間と金銭の余裕がないことの方が問題です。親子で旅行したり、イベントに参加したり、普段できないことをすることの方が宿題よりはるかに意義がある「家庭教育」といえます。そのためには政府が夏休み減税、休暇給付金などの施策が必要です。毎月の子供手当はそれなりに意義があることですが、夏休みボーナスとして親に特別給付を出すことは企業が休日を出しやすくなります。夏休みの宿題代行が流行るなど、異常な世界です。政治はこれを放置しておいてよいはずがありません。それが政府の夏の宿題です。
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