霜降(そうこう)


霜降

本日から二十四節気の「霜降」(そうこう)に入ります。霜降は秋の終わりを告げる節気で、文字通り、霜が降り始める時期を指します。今年のように暖かいと霜はまだの地域も多いと思われますが、夜は小寒い日もあります。七十二候では霜降は以下の三つの候に分かれます。

初候:霜始降(しもはじめてふる) - 霜が降り始める。
次候:霎時施(こさめときどきふる) - 時折小雨が降る。
末候:楓蔦黄(もみじつたきばむ) - 楓や蔦が黄葉する。

二十四節気は古代中国で生まれ、日本には奈良時代に伝わりました。元は農業の指標として使われ、季節の移り変わりを細かく観察するためのものです。霜降は秋の最後の節気であり、冬の訪れを感じさせる時期です。この時期は、農作物の収穫が終わり、冬支度が始まる重要な時期でもあります。霜降の時期には、各地で様々な行事が行われます。例えば、収穫祭や秋祭りが盛んに行われ、地域の神社では五穀豊穣を祈る祭りが催されます。また、霜が降りることで、農作物の保存方法や冬の準備が本格化します。農家では、収穫した作物を保存するための準備が進められ、漬物や干し野菜などの保存食が作られます。冬に備えて漬物を作る作業は原風景ですが、今ではスーパーで袋入りを買うのが当たり前になって、味も均一になってしまったのは寂しいことです。

霜降の時期には、旬の食材が豊富にあります。特に美味しいのは、柿や栗、さつまいもなどの秋の味覚です。柿はビタミンCが豊富で、風邪予防にも効果的ですし、渋柿を干して、干し柿にするとさらに甘さがまします。干し柿が軒先に吊るされているのも日本の原風景です。そしてネット販売があることで、世界的な人気もでているようです。干し柿の白い粉は自然にできた糖分で、砂糖がなかった昔は柿が甘みの調味料で、いろいろな菓子も作られました。またあまり知られていませんが、柿の蔕(へた)は「しゃっくり止め」の特効薬です。栗は炊き込みご飯やスイーツに使われ、近年はモンブランブームらしく、名物にしている洋菓子店が増えました。日本だと京都の焼き栗が有名ですが、フランスなど、ヨーロッパでも焼き栗が路上を売られていて、秋の風物になっています。マロングラッセはフランス菓子の代表ともいえます。さつまいもは焼き芋や天ぷらにして楽しむことができます。干し芋や芋けんぴも人気です。また、この時期には新米も出回り、炊きたてのご飯が一層美味しく感じられます。霜降の頃になると、朝晩の冷え込みが一層厳しくなり、霜が降りることで地面が白く覆われることがあります。木々の葉も色づき、紅葉が見頃を迎えます。楓や蔦の紅葉は美しく、散策やハイキングに最適な時期です。自然の美しさを楽しむために、多くの人々が紅葉狩りに出かけます。霜降は、秋の終わりと冬の始まりを感じさせる節気であり、自然の変化や季節の移り変わりを楽しむ時期です。歴史的には農業と深く結びついており、現代でもその風習や行事が受け継がれています。

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