挨拶について


あいさつ

「挨拶」という言葉は、もともと禅宗の用語である「一挨一拶(いちあいいっさつ)」に由来します。これは、修行者が互いの悟りの深さを問答で確認する行為を指していました。この言葉が転じて、一般的な儀礼的な言葉や動作を指すようになりました。禅宗が日本に渡来する以前の挨拶については、具体的な記録が少ないですが、古代日本では挨拶の形式が現在とは異なっていたと考えられます。古代日本では、挨拶は主に身振りや礼儀作法を通じて行われていました。例えば、お辞儀や手を合わせるといった動作が一般的でした。これらの動作は、相手に対する敬意や感謝の気持ちを表現するためのものでした。また、言葉による挨拶も存在していましたが、現代のような定型句は少なく、状況に応じた言葉が使われていたとされています。例えば、「おはよう」や「こんにちは」といった挨拶は、時代が進むにつれて定着していったものです。お辞儀の文化も、仏教が広まった500年から800年頃に中国から伝わったとされています。日本の挨拶は、出会いや別れの際に短い言葉を交わし、軽くお辞儀をするのが一般的です。一方、アメリカでは握手やハグ、イタリアやフランスでは頬にキスをする挨拶が一般的です。そのため、出会った時の距離が異なることも知られています。日本人同士では、お辞儀をしても頭がぶつからないように、そこそこの距離を空けます、しかしアメリカでは握手をするために、日本人よりも距離が近くなります。イタリアやフランスのようにキスするためには、さらに違づくことになります。ここまで近づかれると日本人は緊張が高まり、思わず身を引いてしまいます。すると相手はまた距離を父締めようとしてきます。こうした緊張が高い状態だと、練習でできた挨拶の言葉も出なくなってしまいます。握手の際も、日本人はお辞儀のための距離をとるため、外交の場では、日本の首相がお辞儀をしつつ、手を差し出しているのに対し、相手は背中を真っすぐにしているので、なんとなく、日本人が卑屈に見えてしまいます。それが国同士の力関係を表しているように見えるため、日本で報道される写真では、対面の挨拶の場面は少なく、座って対面している様子とか、横に並んで握手している場面が報道されます。これは慣れの問題もあるので、外交慣れした日本人はより近い距離で、お辞儀をしない握手をする人も増えてきました。お辞儀は日本文化では無意識な行動ですが、外国から見ると、ペコペコしているように見えますから、日本人を低く見る人が多いことも事実です。英語だけでなく、英語的な行動も学習する必要がありますが、言語よりもこうした文化的行動を会得するのはかなり大変です。また、世界にはいろいろな挨拶があり、ケニアのキクユ族では挨拶の際に相手の手に唾をかけることがあり、ニュージーランドのマオリ族では鼻と鼻をくっつけて挨拶をするなど、地域によって非常に多様な挨拶の方法があります。挨拶は出会った時にまっさきにする行動なので、事前に知っておかないとカルチャーショックになります。奈良の鹿のお辞儀は理解されないでしょうね。

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