顕著・顕教


般若心経

「顕著」という言葉は、中国の古典文学からの借用で、漢字の「顕」は「明らかになる、明示する」という意味があり、「著」は「現れる、示す」という意味です。組み合わせると「目立って明らかになる」という意味になります。

日本での初出は平安時代の文献に見られますが、詳しい文献名は不明です。多くの漢字が日本に輸入され、文書や詩に使われたため、特定の初出は特定しづらいのだそうです。平安時代には、中国から密教が伝わってきました。密教は顕教と対になる概念で、顕教とは、仏教の教えのうち、経典や説法を通じて公開されている教えのことを指します。つまり、一般の人々に理解しやすく、広く伝えられる教義や教説です。これに対して、密教(秘密の教え)は、特定の修行者や弟子にのみ伝えられる秘教であり、一般には公開されないものです。顕教の代表的な教義には、釈迦の教えが該当します。仏教の経典である「般若経」や「法華経」などがその一例です。顕教は理解しやすく、誰でも学ぶことができるものです。顕教の主な特徴は、顕教の教えは隠されることなく、経典や説法を通じて広く伝えられます。仏陀が説いた教えが中心となります。顕教には多くの経典が含まれます。代表的なものに「般若心経」や「法華経」があります。これらの経典は、仏陀の言葉や教えを記録したもので、仏教の基本的な教義を学ぶための重要な資料です。今でも簡単に接することができます。顕教の実践は、戒律を守り、瞑想を行い、智慧を深めることに重点を置きます。これにより、仏陀の教えに基づいた生活を送り、悟りを目指します。一般に日本の仏教のほとんどが、これに属します。一方、密教は顕教とは異なり、秘密の教えや儀式を含む仏教の一派です。これらの教えは特定の弟子や修行者にのみ伝えられ、公には明かされません。密教の主な特徴は、教義は師から弟子へと直接伝えられるもので、一般には公開されません。これには特別な儀式や瞑想法が含まれます。密教では曼荼羅(まんだら)と呼ばれる図像が重要な役割を果たします。曼荼羅は宇宙の象徴であり、修行の一環として瞑想や視覚化に用いられます。秘宝であり、時々公開されますが、その解釈はなかなか教えられません。密教では、マントラ(特定の音や言葉の繰り返し)やムードラ(手のポーズ)が重要です。これらは精神的な力を高め、悟りを目指すための手段とされています。仏像はそれぞれ決められた手の形、印形(いんぎょう)をしています。印形を見れば、どういう仏なのかわかります。護摩(ごま)という 密教の儀式の一つに護摩があります。護摩は火を用いた儀式で、供物を炎の中に投げ入れることで煩悩を焼き尽くし、願いを成就させるとされています。密教系寺院(天台宗、真言宗)で、見られる儀式です。顕教と密教は、仏教の中で異なるアプローチを取りながらも、最終的には悟りを目指すという共通の目標を持っています。顕教は広く公開された教えを通じて知恵を深め、密教は秘密の教えと儀式を通じて霊的な力を高めます。日本の真言宗や天台宗は、顕教と密教の両方を取り入れた仏教の宗派です。

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