手話の雑学32

人間は進化過程において、脳が他の動物よりも発達したというのが定説になっています。感覚器官の発達は動物によって異なります。その発達は生存環境による、ことになっています。一部の器官が発達するかわり、一部の器官が退化する、ことにもなっています。
人間の場合、個人差はありますが、コミュニケーションにおいて、視覚が強く、嗅覚は弱いといえます。動物の中には逆の場合もあります。コミュニケーションのツールとして言語が重要であるならば、なぜ音声利用が中心になったのか、これは大きな「謎」です。この「謎解き」は先送りさせていただくとして、音声言語は「耳と口」を利用しますが、手話は「目と手」を利用する、という特徴をまず理解していただきたいのです。そして身振りのほとんどは「目と手」を利用します。つまり、手話と身振りは使用器官と使用感覚がとても近いのです。これは日常的に誰もが感じることで、いまさら何をと思われるでしょうが、科学的には重要なことです。実は文字という音声言語から発達した情報手段は「目と手」を使用する方法ですから、身振りや手話と近い伝達手段といえます。こういう視点から、「情報の進化」を考えると、新聞(視覚のみ)、ラジオ(聴覚のみ)、テレビ(視覚と聴覚)、インターネット(視覚のみから、視覚と聴覚)へと情報媒体(メディア)が変化していきました。技術上の問題はあるのですが、なぜこういう進化過程をとったのか、という説明がほしいところですね。そして現在は、嗅覚や触覚や味覚の伝達という技術進化の方向に動いています。これらの技術の根底は「満足感」につながっています。「テレパシー」という意識の伝達も一時期は盛んに研究されましたが、最近はあまり聞かれません。どうやらこちらの方は「超科学的」ということで、物理中心の科学からは排除されているようです。原因は科学と宗教の分離という歴史にあるようで、心の問題は宗教ということに今でもなっています。そういう「分類」が現代も続いていることになります。
「言語の進化論」という考え方が近年、出てきています。「人間はいつから言語を獲得したか」という疑問への回答の研究です。言語の起源論は昔から数多くの説がありました。考古学や人類学でも、骨格は出てきても、言語については、化石はでてきません。文献が最古の物理的証拠です。そのため、昔は言語の起源や系統を調べるのは文献学に限られていました。比較言語学という分野では、文献を中心に語族などを特定してきました。しかし、骨格から、喉の器官が推定できるようになり、いつから「音声言語」が使用できるようになったか、という推定はできるようになりました。コンピュータの発達がさらにその推定に一役買うようになって、「ネアンデルタール人の音声」を推定した研究もありました。それによれば、根案でネアンデルタール人は現代人のような音声は発生できなかった、ということになりました。それは言語の起源について新たな謎を生む結果となりました。
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