Santa Barbara(サンタ・バーバラ)


十三夜の月のイラスト

カリフォルニア州南部の海岸線を北へたどってゆくと、ロサンゼルスの喧騒が少しずつ遠ざかり、空気が柔らかく変わってゆく場所があります。それが、Santa Barbaraです。スペイン風の白壁の建物、赤い瓦屋根、ヤシの木が並ぶ海辺の道。そして背後にはサンタ・イネス山脈が広がり、海と山が一体となった独特の景観を生み出しています。その美しさから「アメリカのリヴィエラ」とも呼ばれるこの町は、観光地であると同時に、歴史と文化の深みを持つ土地でもあります。

サンタ・バーバラの歴史もスペインのミッションです。その代表格が、1786年に創設されたMission Santa Barbaraです。「ミッションの女王」とも称されるこの建物は、現在でも美しい双塔を持つ姿で残されており、サンタ・バーバラの象徴となっています。このミッションは単なる教会ではなく、先住民チュマシュ族への布教、農業開発、スペイン文化の移植という役割を担っていました。現在のサンタ・バーバラは、美しい観光地として知られる一方で、こうした歴史の光と影を静かに抱えている町でもあります。

街を歩くと、他のアメリカ都市とは少し異なる景観に気づきます。それは1925年の大地震が大きく関係しています。この地震で市街地は大きな被害を受けましたが、その復興に際して市民たちは無秩序な近代化を避け、「スペイン・コロニアル様式」で街並みを統一する方針を選びました。そのため現在でも、白壁と赤瓦の統一感ある美しい街並みが保たれているのです。アメリカ西海岸の都市の中でも、サンタ・バーバラがどこかヨーロッパの港町のような雰囲気を持つのは、この復興計画のおかげだといえるでしょう。

Stearns Wharfは1872年に建設された歴史ある桟橋で、現在は観光客でにぎわう人気スポットです。桟橋から眺める太平洋は穏やかで、夕方になると海面が金色に染まります。沖にはイルカやアシカが姿を見せることもあり、自然と都市が近い距離で共存していることを感じさせます。

また、文化都市としての側面もあり、映画産業との関わりも古く、ハリウッドが巨大化する以前には映画制作の拠点の一つでもありました。現在でも毎年開催されるSanta Barbara International Film Festivalには多くの映画人が集まり、アカデミー賞前哨戦の一つとして注目されています。

教育の町として海を見下ろす高台に位置するUniversity of California, Santa Barbaraは、美しいキャンパスで知られています。学術と自然が近接している点が人気です。気候も地中海性気候のため、一年を通して温暖で過ごしやすく、冬でも比較的穏やかです。そのためワイン産業も盛んで、近郊のサンタ・イネス・バレーでは良質なカリフォルニアワインが生産されています。映画『Sideways』によってこの地域のワイン文化はさらに有名になりました。

サンタ・バーバラは、ロサンゼルスのような巨大都市ではありません。しかしサンタ・バーバラには、「美しさを守ろうとしてきた歴史」が感じられます。ただ華やかなだけではなく、人々が長い時間をかけて築いてきた調和が、この町の本当の魅力なのかもしれません。

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