日本史と世界史で読み解く 北米建国物語 第12回(1) 明治日本と西部開拓時代のアメリカ

十三夜の月のイラスト

― 鉄道、移民、開拓、そして近代国家の建設 ―

1868年、日本では明治維新によって新しい政府が成立しました。

ほぼ同じ時期、アメリカでは南北戦争が終わり、国内の再統合と西部開拓が本格化していました。一見すると、両国はまったく違う歴史を歩んでいるように見えます。

・日本は江戸幕府から明治政府へ。
・アメリカは南北戦争から再建へ。

しかし、その後の両国には驚くほど似た課題が現れます。それは、「広い国土をどう一つの国家としてまとめるのか」という問題です。そして、そのために両国が重視したものの一つが、鉄道でした。

明治日本では新橋―横浜間に鉄道が開通し、アメリカでは大陸横断鉄道が完成します。鉄道は単なる交通手段ではありませんでした。それは、人、物、情報、軍隊、資本を運び、国家そのものを変える力を持っていたのです。

・1869年、日本とアメリカで鉄道がつながる

1869年5月10日、アメリカで歴史的な出来事が起きました。ユタ州プロモントリーで、ユニオン・パシフィック鉄道とセントラル・パシフィック鉄道が接続します。これによって大西洋側と太平洋側が鉄道で結ばれました。いわゆる「大陸横断鉄道」の完成です。

同じ年、日本では東京が新政府の中心となり、近代国家建設が進められていました。そして1872年10月14日、新橋―横浜間で日本初の鉄道が正式開業します。アメリカでは大陸を横断する鉄道。日本では首都と国際港を結ぶ鉄道。規模はまったく違いますが、目的には共通するものがありました。「国家の中心と重要な地域を結ぶ」ことです。

・鉄道がなければ国家は一つにならない

鉄道が登場する以前、人間が長距離を移動するには非常に時間がかかりました。馬。徒歩。船。これらが主要な交通手段です。日本では駕籠や牛車などもありましたが、少数です。

ところが鉄道は、大量の人間と物資を比較的高速で運ぶことができます。農産物を都市へ運ぶ。工場の商品を地方へ運ぶ。郵便を運ぶ。新聞を運ぶ。兵士を移動させる。政府の命令を遠方へ伝える。鉄道は、経済だけでなく政治や軍事にも大きな影響を与えました。つまり鉄道は、「距離を縮める技術」だったのです。

・アメリカでは「西へ」の速度が上がった

大陸横断鉄道の完成によって、西部への移住はさらに加速しました。それまで東部から西部へ移動するには、長い時間がかかりました。しかし鉄道によって、移民や農民が西部へ移動しやすくなります。物資も運びやすくなりました。農産物を東部の都市へ輸送できます。西部で生産された牛や穀物が巨大な市場へ流れ込みます。鉄道会社は土地を開発し、駅の周辺には町が生まれます。こうして、鉄道→町→農地→市場という新しい経済圏が形成されていきました。

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