日本史と世界史で読み解く 北米建国物語 第12回(2) 明治日本と西部開拓時代のアメリカ

― 鉄道、移民、開拓、そして近代国家の建設 ―
・日本でも鉄道が社会を変えた
明治政府にとっても、鉄道は国家建設の重要な道具でした。1872年に新橋―横浜間が開通すると、鉄道は次第に全国へ広がります。東京と横浜。大阪と神戸。さらに京都、大阪、名古屋などを結ぶ路線が整備されていきます。鉄道によって人の移動が活発になります。地方から都市へ商品が運ばれます。新聞や郵便の流通も速くなります。鉄道沿線には新しい町が形成されます。江戸時代には地域ごとに分かれていた経済圏が、徐々に全国市場として統合されていきました。
・「国民」という意識も広がる
鉄道の重要性は経済だけではありません。人々が全国を移動するようになると、「自分は○○藩の人間だ」という意識だけでなく、「自分は日本という国の国民だ」という意識が形成されやすくなります。
江戸時代には、人々の生活圏は比較的地域に根ざしていました。しかし明治時代になると、学校。徴兵。鉄道。郵便。新聞。警察。戸籍。こうした全国的な制度が整備されます。これらはすべて、人々を一つの国家制度の中に組み込む役割を果たしました。
・アメリカにも「国民」を作る仕組みが必要だった
アメリカでも同じような問題がありました。アメリカは広大な国です。ニューヨークからカリフォルニアまでは非常に遠い。地域によって文化も異なります。南北戦争前には、州の権限を重視する考え方も非常に強くありました。南北戦争後、連邦政府の力が強くなり、さらに鉄道や郵便、新聞などが全国を結ぶようになります。こうしてアメリカは、「州の集合体」から「一つの巨大な国家」へ変化していきました。
・西部開拓という巨大な移住
19世紀後半のアメリカでは、「西部開拓」が急速に進みました。東部の都市から人々が西へ移動します。農民。商人。鉱山労働者。牧場主。鉄道労働者。移民。さまざまな人々が西部へ向かいました。「新しい土地で人生を始めたい」という希望を持つ人も多くいました。しかし、この物語には非常に大きな問題があります。その土地には、すでに先住民族が暮らしていたのです。
・西部開拓と先住民族
アメリカの西部拡張は、先住民族の土地を奪う歴史でもありました。政府は条約を結ぶこともありましたが、その条約が破られることも少なくありませんでした。鉄道建設によって、先住民族の生活圏が分断されます。さらに、バイソンの大量捕殺も先住民族の生活に深刻な影響を与えました。19世紀後半、先住民族との間で多くの戦闘が起こります。
リトルビッグホーンの戦い。アパッチとの戦闘。スー族との戦争。そして、1890年のウンデッド・ニー。西部開拓は「自由な土地を開拓した」という英雄的な物語だけではありません。それは、先住民族の土地と文化を奪いながら進んだ国家拡張でもありました。
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