透明資産
2011年(平成23年)12月14日、株式会社ホスピタソンは同社の創業記念日を記念して「透明資産」という概念を着想し、商標登録、2020年(令和2年)に一般社団法人日本記念日協会により認定・登録されたそうです。同社が定義する「透明資産」とは「目には見えないけれども、人・商品・サービス・想い・空間・空気などに心地よさを感じて、その人にもう一度会いたい、そのお店にもう一度行きたい、その商品をもう一度買いたいと思ってもらえる資産のこと」だそうです。仕事でも私生活でも人が生きていく限り、この「透明資産」に気付き、磨いて、伝えていくことが大切との考えを広めることが目的とのこと。「透明資産R?とは文字通り、目には見えないけれどどの店や企業にも存在しているもの。そして、その店や企業にとって最大の強みになっているもののことです。それは商品やサービスであったり、スタッフの個性や店の雰囲気であったりとさまざま。しかし多くの場合、経営者や店長・マネジャーは透明資産R?の存在に気づいていません。」(同社HP https://hospitason.co.jp/solution/ )
このコラムでは個別の商品について取り上げることはないのですが、心理的な存在を資産ととらえ営業に活かそうという発想はいかにも日本的で興味をもちました。よく「空気を読む」といいますが、日本文化の特徴の1つで、日本以外では理解されない概念です。英語にすると「行間を読む」という意味のRead between the lines. と訳せるそうですが( https://eikaiwa.dmm.com/uknow/questions/1808/ )、これは文章になっている場合ですから、そもそも言葉で表現しない「空気」には当てはまらないと思われます。Take a hint. とかOff-keyやRead atmosphere. Read the room.など人により提案が違っていて、やはり翻訳が難しい日本語の1つです。「同調圧力」はpeer pressureとかsynchronizing pressureと訳されていますが、日本では周囲の人々の行動を察知し、それに合わせる文化が発達しています。その典型例が今のマスク着用でしょう。非合理とはいえず、実際、今度の新型ウイルス対策でも有効に働き、世界と比べると非常に罹患率と死亡率が低かったのはその同調圧力のおかげともいえます。そしてテレビで「欧米ではマスクをしていない」と報道されるとマスクをはずす人が増えるのも同じ行動原理です。「ファクターX」の正体はこれでしょう。
透明資産の英語は未提案のようですが、無形資産をintangible assetsといい、いわゆる暖簾とか営業権、特許権、著作権などを意味します。これらは数値化が可能ですが透明資産は数値化が困難であり、資産という経済用語には馴染まないかもしれません。
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