コラムの日
3月11日はコラムの日です。コラムニスト(コラム書き)には大切な日です。なぜこの日が選ばれたのかというと、1751年イギリスのある新聞社がこの種の記事を出し始めた日だからです。コラムという記事は定義がはっきりしませんが、新聞では評論とか囲み記事というもので、有名なのが朝日新聞の天声人語です。他の新聞にも必ずコラム記事があるのですが、昔は受験に出題されることもあって受験生の必読になっていました。コラムは新聞の他の記事が報道であるのに対し筆者の個人的な意見が多い点で社説とも異なります。週刊誌になると1ページ以上のもう少し長い文章がありエッセイと呼ばれていますが、エッセイは完全に個人的な見解のみです。エッセイと随筆はほぼ同じですが、英語でいうessayは日本でいう論文も含まれるので、そこも違います。それ故にコラムニストとエッセイストも微妙に異なります。エッセイストは作家に分類されますがコラムニストは作家には分類されません。どこが違うかというと事実や論理がコラムには重要だからです。まったく私見が含まれないわけではないのですが、事実に基づいた評論がコラムの原則になっています。
コラムは英語でcolumnと書きます。最後にnが来るので間違いやすいです。同タイプの英語に秋autumnがあります。最後にnが来るので“columnist”コラミストではないのです。同様に秋の形容詞形はautumnalオータムナルとなることを覚えておくと教養になります。この語形はラテン語源である証拠でもあります。日本式英語では何にでも語尾にerをつけて造語することがありますが、外国人には意味が伝わらない語になります。
ラテン語ではコラムは円柱を意味していました。古代宮殿では石の円柱が残っていますが、あの円柱のことです。遺跡を見ると柱列が目立ちますが、その様子から縦列を意味するようになり、イギリスの新聞社の記事が縦の欄を利用した埋め記事だったことが発祥の由来です。日本の新聞は今でも縦書きなのでイメージしにくいのですが、英字新聞は当然横書きで、そこに縦の欄があったわけです。日本の新聞コラムは反対に横欄に書かれていますから、コラム(縦列)というのは実は変なのです。
コラムはアメリカ英語ではカラムと読まれるので、表における縦列はカラムと呼ばれています。コラムとカラムが同じ単語だと知っている人は案外少ないです。ちなみに横列はrowロウといいます。横列ということもありますがそれは行として区別し、表計算ソフトなどでは列と行で区別しているものが多いです。日本語では「列を作る」といえば普通は縦にずらっと並ぶことを意味しますので列は縦列を代表しています。縦列駐車は「前にならえ」のように前の車の後ろに自分の車の前をもってくる駐車方式をいいます。もっとも文章の「行間を読む」という時の行は縦書きの文章でも通用するので行が必ずしも横列とは限りません。日本語はそのあたりを案外曖昧なまま文脈に合わせて理解しています。「行列を作る」という表現もあり、縦横にはそれほどこだわっていないようです。とくに横にこだわる場合は「横並び」といい、陸上競技のスタートのようなものを連想させます。
3.11は東日本大震災の日です。このコラムではあえてこの日についての記事を避けました。それはこのコラムはほぼ「歴史上」のこと、旧来のことについて書いており、3.11はまだ現在も続いていることがらで歴史上の事件にしてはいけない、という筆者の気持ちからです。
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