5W1H
新年度になって新しいプロジェクトや新しい仕事が始まり、考えることが多くなります。教育でいえば次のカリキュラムを考えるにはよい時期です。改訂にはかなり時間がかかりますから、新年度から始めるのが最適です。
何かを考える時によくでてくるヒントが5W1H です。Whenいつ、Whereどこで、Whoだれが、What何を、Whyなぜ、Howどのように、という英単語の頭文字を取ったもので、伝えたい内容をこの要素に沿って構成すると、情報を整理できるとされています。英語を習った人なら誰でもわかりますが、疑問語というやつで、文頭にきます。中には4W1H にして、1つ減らす方法を提案する人もいますが、多くの場合、Whyが抜かれるようです。日本人の場合、whyを考えるのが苦手だからです。つまりこの5W1Hというのは欧米式の思考方法のように見えて実は日本型の発想です。
欧米人と会話していると、Why?と聞かれることがよくあります。何かを約束する場合はいつ、どこでが大切ですが、これは手紙やメールで知らせてもらえます。何をするかは想像ができます。主催者が誰かも予めわかります。どのようにするかはサプライズがあったりして、楽しみにとっておけばいいです。問題は「なぜこんなことをするのか」という疑問です。相手方の意図や目的を知らないと騙されるかもしれません。
「これ、差し上げます」といわれて単純に喜ぶでしょうか。「只ほど高いものはない」「無料の落とし穴」がありますから、信用できない人からの提供は疑ってかかります。それでHere you are.といわれたらWhy?となるわけです。その前にThis is a sample. Why don‘t you try it?(お試しになりませんか)と言われて初めて、OK.となります。
日本の文化として「私はなぜこんなことをしているのだろう」と思うのはかなり事が進んだ後です。本当は「なぜこんなことをするのだろう」と先に考えておくべきなのです。「やってみなければわからない」という結果主義にも一理はあります。しかし結果に大きな責任があったり、大きな影響が出る場合は事前に5W1Hを熟慮することは当たり前のことです。
日本人はノウハウknow howとかハウツーhow toが好きな国民性があります。それは悪いことではありませんが、know whyをもっと考えてもよいと思います。よく合理的とか論理的といいますが、それは理性的ということであり、その理性判断の中での最高位が理由reasonです。それで理性的にOKである、がreasonableなのですが、日本語のリーズナブルは安いという意味になっています。本来は「納得のいく値段」のことです。5W1HからWhyを抜いては弱くなります。むしろWhich,Whether, How many, how muchなどさらに階層化された疑問語を追加すべきでしょう。
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