度量衡 weights and measures
度量衡(どりょうこう)という表現はあまり使われなくなりましたが、現実には今も使われている重要な概念です。度は「長さ」で測る道具は物差し、量は「体積」のことで枡(升、ます)で測ります。衡は「質量」つまり重さで「秤(はかり)」で測ります。小学校で習うセンチメートル、リットル、グラムという単位の基本概念です。温度を度というのは温度計が長さで測っていることからきています。単位は違っても世界中で生活に密着した概念で、度量衡なしに科学も医学も経済も成立しません。現在では熱量や仕事量、速度、加速度といった概念があり、複雑になっていますが、根本は度量衡から導きだされたものです。お金も昔は金や銀の重さで決められていましたから、度量衡が基本といえます。
日本で初めて度量衡が決められたのは文武天皇の大宝2年3月8日に全国的に統一された、とされています。元になったのは唐の律令制度で、大本は秦の始皇帝の時代だそうです。西洋では古代バビロニアの時代だそうですから、歴史は相当古いのです。商取引には不可欠ですし、税を取り立てるにも必要でしたから、その物差しが違っていては争いの元になります。そして時の権力者はその統一に力を注ぐのは当然のことでした。そのため、度量衡はたびたび変更されることもあり、国によって異なることもあり、現在でもメートル法の国もあれば先進国でもヤードポンド法の国もあります。そのため製品の規格が違っていたり、スポーツ用具や衣料品などのサイズが違っていたりして不便なままなのが実態です。科学の世界は早くから国際統一がなされてきました。物理学や天文学など統一しないと議論もできません。貨幣については歴史が長い割にいまだに不統一で、国際通貨をめぐって覇権争いをしている始末です。EUはその愚を悟り、域内共通通貨を作ったはずでしたが、それで経済格差まで解消するわけではなく、結局、また分裂の方向のようです。やはり経済というか、国家の欲が絡むと争いになるのが人類の歴史であることは今も変わりません。
通貨の基本となった金の重さでしたが、今では逆転し、金が値段によって取引されるようになりました。金(きん)が金(かね)に変わったわけです。英語ではmoneyとgoldは別語なので混乱はないのですが、日本語は漢字だけでは見分けがつきません。さらに金曜日のように五行説にも用いられるため、混乱が大きいのですが、一旦普及してしまうと変更は時の権力者でもなかなかむずかしいです。「明日の金」と書いたら、どの意味なのでしょうね。
それはともかく「度量の広い」人間は尊敬されます。これは心が長さや広さという概念で例えられることを意味しています。話の内容は重さで例えるのはなぜでしょう。
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