天皇誕生日
2月23日は天皇陛下のお誕生日です。今年は金曜日なので3連休の人も多いと思います。今上陛下のお誕生は既に新暦の時代ですから、新暦でお祝いするのは当然です。ただ旧暦だと、この日は丁巳(ひのとみ)で、陰陽五行では、十干の丁は陰の火、十二支の巳は陰の火で、比和だそうです。比和(ひわ)の意味は「同じ気が重なると、その気は盛んになる。その結果が良い場合にはますます良く、悪い場合にはますます悪くなる」とのこと。比和というのは、五行の互いの関係には「相生」「相剋」「比和」「相乗」「相侮」があり、その一つです。それぞれに性質が付与されています。このうち相乗は相乗効果として今は良い意味に使われていますが、本来は「乗とは陵辱する、相剋が度を過ぎて過剰になったもの」ということで、よくないニュアンスがあります。
この日はまた満月の前日で、これから満ちていく、という意味なので、おめでたい日といえます。さらに友引ですから、お祝いする人にも喜びがあると思われます。
陰陽五行説など今さら、という人は、一週間の曜日が陰陽五行説で配置されていることを知らない人です。新暦を導入した明治の役人は西洋かぶれの割に、月の名前や曜日の名前、惑星の名前には関心がなかったのでしょうか。それとも技術ばかりに目を奪われていて、文化的な知識が欠けていたのでしょうか。月名を数字に置き換えるまでは合理的判断といえますが、曜日と惑星名は陰陽五行説のままでした。しかしその時の判断が今も続いているのは不思議なことです。今年の2月23日は金曜日です。不吉なイメージをもっているのはキリスト教徒だけで、もしそう感じる人がいれば、それは西洋かぶれといえます。陰陽五行説では金は「ごん」または「こん」と読み、土中に光り煇やく鉱物である金属が元となっています。金だけでなく、いわゆる金属はすべて金の仲間という命名になっています。そして陰陽五行説では、金は金属のように冷徹・堅固・確実な性質を表す、とされています。もっとも神道の最高位の祭司ですから、キリスト教や中国の古代思想である陰陽五行説には関係ない、といえば関係ないのですが、日本文化の中に習俗として混淆している面もあるので、参考にするのもよいのではないでしょうか。
今上陛下の今年の歌会始での御製は次のようなものです。お題は「和」です。
「をちこちの旅路に会へる人びとの笑顔を見れば心和みぬ」
皇后さまと全国各地をご訪問になった際、現地の人びとに暖かく迎えてもらったことで、その笑顔を見て、ご自身も心なごむ心情になられたことを詠まれたものです。陛下のお優しいお気持ちが誰にも伝わるような平易な表現で示されていると思われます。
宮内庁によりますと、2月23日の一般参賀では、午前中に3回、天皇陛下が皇后さまをはじめ皇族方とともに皇居・宮殿のベランダに立たれる予定だそうです。すごい人でしょうし、なかなか行けるものではないですが、せめてテレビで拝見したいものです。
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