ハシの日
8月4日は語呂合わせのハシの日です。ハシにもいろいろあり、箸、橋、端など同音異義語の典型です。やはりご多分にもれず箸の会社が制定したもので、日頃お世話になっている箸への感謝という意味です。延命長寿と無病息災を祈願する日枝神社の「箸感謝祭」というお祭りもあるそうです。箸供養というのもあり、使わなかった箸は捨ててしまわないで、神社にもっていくと、この日にお炊き上げしてくれるそうです。道具を大切にする日本文化の一つです。箸の起源は諸説ありますが、遣隋使の小野妹子が持ち帰った箸を聖徳太子が初めて朝廷の儀式に使用されたとか。しかし古事記には神代の頃からあったという記述もあるそうで、どれが正しいのかわかりません。縄文時代は恐らく手づかみで食べていたのではないでしょうか。その頃のことを絵にしたものを博物館で見ても箸は見当たりません。
箸をプレゼントすることもあると思いますが、若い人には「幸せへの橋渡し」ということで喜ばれるのですが、お年寄りには「三途の川の橋渡し」で縁起が悪いそうなので注意です。しかし箸と橋では違うのですけど、そこは語呂合わせで納得してください。
一休さんの頓智話にも橋が出てきます。久兵衛さんとのやりとりで「端を渡らず真ん中を通ってきた」といってやりこめる話です。これも同音異義語の利用です。日本人はこういう語呂合わせが大好きのようで、何かというと語呂合わせで縁起を担ぎます。それも同音異義語の組み合わせがたくさんあるからです。
英語では同音異義語は非常に少ないのですが、その代わりrhymesといい同じ母音の組み合わせで言葉遊びをします。いわゆる脚韻で、英詩はほぼこのrhrmesでできており、日本の詩歌の七五調と同じリズム効果をもっています。現代のラップにもそれは受け継がれていて、日本の歌に脚韻を踏むタイプの歌が少しずつ増えてきています。それは恐らく同じ音の繰り返しが人間には心地よく感じるからなのでしょう。
ハシに限らず、日本語には同音異義語と並ぶ特徴として清音を濁音にするパターンがあります。言語学では異形態というのですが、ハシとバシの関係です。橋は大橋、高橋だとハシ、日本橋、永代橋だとバシになります。どういう時に濁音になるかその規則性がなかなかわかりません。中橋だとバシ、小橋はハシでもバシでもよさそうです。タカハシとナカバシではハシの前は共にカですからカの後なら濁音になる、ということでもなさそうです。橋本はバシにはなりませんから、語頭だと濁音にならない、ということはいえそうです。端はバシになることは少ないようです。ミギハシ、ヒダリハシのように清音だけになります。箸はどうでしょうか。菜箸、丸箸のように後ろに来るとだいたいバシになり、箸置きのように前にくるとハシになるようです。こういう区別を規則として考えている日本人はなく、なんとなく習慣になっています。これが外国人には難しい区別です。聴覚障碍者も同じ悩みをもっています。母語というのは習慣的なものです。
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