治安と危険



海外旅行では必ず事前に注意されるのが、盗難のリスクと犯罪に遭うリスクです。旅行客が狙われるのは世界共通でもあり、日本でも外国人ツーリストが被害に遭う可能性は低くないのですが、それでも諸外国に比べると治安がよいことが指摘されます。知らない国に行くと、知らず知らず危険な地域に入り込むことはありえます。地元民は危険なエリアを知っていて、近づかないようにしているのですが、外国人にはそこがわからないので、つい踏み込んでしまう危険があるわけです。通りをホンの1本違っただけで、危険な通りになるのは繁華街ではよくあります。その通りに入る瞬間に、「なんとなく危険な感じ」という感覚が必要ですが、この感覚は個人差と経験による差があります。一方で、旅先だとちょっとした冒険心が起きて、好奇心から入り込むことがあります。「ちょっとなら大丈夫」とか、「私は大丈夫」といった、いわゆる正常性バイアスの強い人がいます。これは違法な薬物に手を出す感覚と似ています。誘われて入り込むことがあるので、そういう誘惑にはとくに注意が必要です。もっとも危ないのが日本語による呼びかけです。海外で日本語に出会うとなんとなく安心してしまうことが多いのですが、そこが危険なわけです。「ダイジョブ」などといわれると、ついそんな気になってしまいます。そして厳しく「ノー」といえない日本人が多いのです。日本文化では厳しく拒否することは、冷たい人という印象を与え、断るのも遠回しであったり、柔らかく断るなど、人間関係を大事にする習慣があります、しかし日本以外の文化では、断る時こそ、しっかり、はっきりと断ることが重要だと考えています。曖昧な拒否は、まだ受け入れる余地があることを意味していますから、日本的拒否はさらにしつこく誘われる結果になります。諸外国ではdefinitely ,absolutelyといった「ゼッタイに」という強調を肯定にも否定にもつけるのが当たり前になっています。それくらい言語に力があります。拒否の言葉と同時に、リスクへの警戒心は強いのが普通です。なぜなら、日常的に治安がよくないからです。治安を守るにはガードしかありませんから、高級住宅地の周囲は高い塀があり、ガードマン付の門があります。宮殿に軍の衛兵がいるのは当たり前です。日本では皇居や首相官邸などを自衛隊がガードしていることはありません。軍ではなく警察です。その違いは歴然で、警察が銃で警護することはなく、軍は必ず小銃などを装備しています。戦闘力が全然違います。治安の悪い国では金持ちは私兵と呼ばれる軍のような重装備の警備をしています。泥棒の方も、塀を乗り越えて侵入してくる窃盗程度ではなく、テロのように武装して侵入してくるので、防衛力が必要なのです。こういう安全保障つまりセキュリティは重要で、襲われやすい宝石店、質屋などは格子のついた扉がついていたり、店主は銃を持っていたり、と日本では考えられない防衛をしています。また窃盗団というプロも多く、日本の窃盗団よりもはるかに狂暴です。ひったくり、置き引きなど、盗られる方が悪い、という雰囲気さえあります。日本はいつまでもつでしょうか。

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