白露(令和六年)



今年の白露は9月7日です。白露とは二十四節気の1つで冬至から数えて259日頃です。正確に言えば1年の17/24日目です。つまり二十四節気は1年を24に分けて、その17番目ということです。白露の次が秋分です。二十四節気はさらに3分割され七十二候となります。白露は次の三候に分けられています。

初候:草露白(そうろ しろし) : 草に降りた露が白く光る
次候:鶺鴒鳴(せきれい なく) : 鶺鴒が鳴き始める
末候:玄鳥去(げんちょう さる) : 燕が南へ帰って行く

露が白くなる、鶺鴒が鳴き始める、燕が南に帰っていく、など、都会だけでなく、田舎でもあまり実感がなくなってきています。それだけ人は自然への興味が薄れてしまったということになります。毎日の天気は天気予報の温度や湿度に左右され、室内の気温はエアコンで調整することが当たり前になりました。それは科学的な生活ですが、実際の天気予報は最近はずれが多かったり、台風の進路予想がはずれたりするようになりました。天気予想は過去のデータから統計的に計算して予測したものですから、本来なら、相当にデータが蓄積された現在なら予測精度は高まる一方のはずです。しかし天気予報の専門家は「地球温暖化により偏西風が変わり、海の温度が上昇したので、予報がしにくくなった」といいます。しかし理論的に考えるなら、変化は急激に起こったわけでなく、徐々に変化していったはずなので、変化率や変化速度も要因に入れれば、予測は可能のはずです。実際はスーパーコンピュータという大量データ処理ができる計算機で計算しているので、複雑な要因が絡んでも計算はできます。その結果予測が正確でない、ということはデータ量や計算能力のせいではなく、計算式が合わなくなっているということがいえそうです。予測理論が合わなくなっているともいえます。ある意味、科学万能主義の終焉といえそうです。一方で、昔からの経験則は現代科学よりはるかに長い期間の経験が基盤なので、自然観察には役立ちそうです。科学的な生活ではなく、自然との共生というか、周囲の自然を観察し、生活に取り入れていく、という習慣をもつと、精神的には豊かになると思えます。多少の時期のずれはあっても、「今年は白露になるのが遅いね」とか「もう白露なのだね」といった会話が楽しめる生活というのも豊かな生活といえるかもしれません。豊かさは経済もありますが、精神的な満足感が大切で、その指針を示してくれるのが、二十四節気であり七十二候です。そしていわゆる「旬(しゅん)のもの」をいただくことが、自然の恵みへの感謝へとつながります。それもまた豊かさだといえます。鶺鴒は図鑑で見ることはあっても、実物を見たことがある人は少ないかもしれません。しかし実は都会でも森があり、鶺鴒の声が聞こえます。燕の飛ぶ姿は意外と簡単に見られます。そして越冬燕という帰らない燕もいます。巣も意外に近くにあるものです。

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