企業の栄枯盛衰と商標
最近、タッパーウエアの倒産が報道されました。タッパーといえば、密封できるプラスチック容器の代名詞でした。現在は百均でも買えるので、倒産もありえます。当初日本に入ってきた時は「タッパーパーティ」という商法で、ある家庭で近所の人を集めてパーティを開き、そこでのみ販売するという方式です。昔は広い家も多かったので、奥様方を集めて、こういうホームパーティをすることが、アメリカ式、最先端の文化でした。実際、アメリカでは今でもティーパーティと称する近所の集まりがあり、選挙の時に活躍する文化習慣があります。日本人駐在員の奥様はそれが必要なので、けっこう苦労された方もおられます。日本人なら茶道や華道などは当然できると思われていますし、男性なら空手などの武道が当たり前と思われているので、迷惑な話です。日本語や日本料理程度なら付き合えますから、そちら方面中心になりますが、いわゆる民間外交というのはこれです。日本の都会ではむずかしいですが、田舎なら外国人にもしていると思われます。タッパーウエアだけでなく、企業名や商品名が普通名詞になった例は数多く、ホチキス、ゼロックス、コダック、コカ・コーラ、バンドエイド、マックなどがよく知られています。日本だと味の素。うどんすき、正露丸、巨峰 セロテープ、シーチキン、宅急便、ウオシュレットなどが普通名詞化しています。NHKでは商品名を紹介してはいけない、という社内ルールのため、これらを言い換えるのに苦労しています。中には歌詞にまで、言い換えをして、「真っ赤なポルシェ」を「真っ赤な車」と言い換えて、間抜けな感じがして物議を醸したことがあります。世界的にはエスカレータ:米オーチス社、メカトロニクス、ホームシアター、メンマ、サニーレタスなど国際的な商標であったものの商標登録が消滅した例もあります。日本でもデジカメ、ポケベルなどがあります。お土産になると、その傾向は強くなり、赤福、雷おこし、などが普及しています。商品名が普及することはメーカーにとって、嬉しい反面、真似されて類似品が出回るという負の面もあります。その結果、コスト競争になり、営業成績が次第に落ちて、倒産ということになる例もあります。これを避けるためには、先行企業は常に改良を加え、新商品を出さねばならない、ということになります。自動車などはこういう新作モデルを毎年発表するのが通例になっていますが、その開発費や技術革新は相当負担になります。大量生産時代にはとくに大変です。現在のITがそのまっただ中にあり、OSやプラットフォームは更新を頻繁に行います。IT関係は真似しやすいと同時にサイバー攻撃の対象にもなりやすく、更新が頻繁になる結果、利用者はついていけないこともあります。OSやプラットフォームが普及すれば、独占的または寡占になりやすく、その分、攻撃の確率も増えるという、「いたちごっこ」になり、それが倒産につながるリスクもあります。「売れる」ということは利益だけでなく、リスクも内在している、ということをメーカーは肝に銘じておくことが必要でしょう。
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