修正終身雇用 ― ポスコロ3 ―
かつての日本の景気を支えた労働環境について、ポスト・コロナの今こそ、再考すべき制度がいくつもあります。その1つが終身雇用制度です。昔の労働者は定年までは雇用が保証されており、定年後は年金で暮らせるという安心感がありました。だからこそ、一生懸命勉強して、いい大学に入り、いい会社に就職するという夢があったわけです。ところが現在の環境はいつ解雇になるか不安であり、年金は開始年齢がどんどん遅くなり、しかも年金は減らされるばかりです。安心して働くこともできず、長期財政計画もできないので長期ローンも不安です。そして雇用は非正規と派遣が増えて、その非正規雇用者からも雇用保険をとるような仕組みにしてしまったのは労働政策の失策といえます。一見、非正規雇用労働者を守るような制度に見えて、実は正規雇用労働者との待遇上の差異が減少し、結局は正規雇用労働者の賃金上昇を抑えるだけの結果になりました。一方で、年金財政の負担が大きくなったことで年金額を減らし、開始年齢を遅らせるという政策にしたことで、労働者は老後が不安になるばかりです。年金は現役世代が支えるという仕組みは人口増加の政策で、人口減少が起これば破綻することは明白です。保険加入者が減っていけば保険料収入が減り保証額が減るのは誰にでもわかることです。無理やり加入者を増やしても保険料が安い上に、さらに保険制度が怪しくなっていくだけの保険経営です。さらに不味いのは福祉目的税と称して消費税を導入し赤字を埋めようと図ったことです。消費税を福祉目的にしている国は日本だけです。そして実際には消費税は目的税ではなく一般税にしていますから、本当に福祉目的にしか使われているかどうか調べようがありません。まもなくやってくると想像される消費税増税の際にはまた同じく福祉目的を強調することでしょう。
かつてのような不安のない老後にするための政策は実に簡単で、定年を先延ばしにして年金支払いを増大させることです。雇用の安定と老後保証です。現在の政策は一見、その方向に動いているように見えますが、実際には企業は定年をほぼ延長せず、再雇用という賃下げを実施、それも社員全員が対象でなく企業が選別できるしくみです。再雇用と賃下げという制度の理由はあいまいで、若手登用の機会というような説明になっています。しかし再雇用したら、その分は若手登用になりません。人口動態では人口減少が明らかなので、若者にとって出世競争においては昔より有利で、競争相手が少ない分、上昇できる確率ははるかに高くなっています。若手登用の機会は高齢者の人数を減らさなくても増えているわけです。雇用側者からすれば世代交代すれば若手の労働力が安く使えて有利に見えるのですが、経験の浅い若手労働力は生産力上昇にはつながりません。そこで同じ安い労働力なら外国人労働力というグローバリズムがここにも顔をだします。
諸外国においては短期雇用が普通なので、終身雇用をしていた日本企業の強みがそこにあったのですが、グローバリズムに支配されるようになって強みを捨て他国と同様な競争をした結果、他国と同様の不景気のスパイラルに陥って超長期デフレから脱却できなくなってしまいました。
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