神無月朔日
今年は新暦と旧暦がちょうど1カ月ずれていて、11月1日が旧暦10月1日となります。旧暦十月の別名は神無月ですが、これには都市伝説のような通説が広がっています。
神様がいなくなる月説: 旧暦10月には全国の神々が出雲大社に集まるため、他の地域には神様がいなくなるという説です。一般に、これが「神無月」の由来とされていますが、これは俗説とされています。神の月説というのもあります。 「神無月」の「無」は「の」を意味する格助詞「な」であり、「神の月」という意味になるという説です。実はこの説が最も有力とされています。雷無月説では、 旧暦10月は雷が鳴らない月であるため、「雷無月(かみなしづき)」が転じて「神無月」になったという説です。醸成月説では、新穀でお酒を醸す月であることから、「醸成月(かみなしづき)」が転じて「神無月」になったという説です。このように語源というのは、文献にはっきり明記されていれば、特定できますが、普通は後付けの理由がたくさん作られ、どれが本当なのか、わからなくなっていることが多いのです。落語に「千早振る」というのがありますが、明らかに創作であることを笑いのネタにしています。日本語には同音異義語が多いので、こうした創作がしやすいという文化があります。
神無月には、日本各地でさまざまな行事や風習が行われます。神送りと神迎えというのがよく知られています。神送りは、全国の神々が出雲大社に集まるために送り出す行事です。地域によっては、神様のために赤飯や団子をお供えし、盛大に見送ります。神迎えは、出雲から戻ってくる神様を迎える行事です。餅や蒸した里芋をお供えし、神様の帰りを祝います。お盆のご先祖様の送り迎えと同じく、神様も送り迎えするというのは日本の文化です。
えびす講はこの時期に盛んに行われます。神様が出雲に集まっている間、留守を守るえびす様に感謝する祭りです。商売繁盛や五穀豊穣を祈願し、各地で行われます。ちゃんと留守番がいる、というのもおもしろい考えです。この時期は収穫祭もあります。農作物の収穫を祝う祭りが各地で行われます。収穫した穀物や果実を保存する作業が行われ、地域の人々と喜びを共有します。今、日本で流行りのアメリカのハロウインも感謝祭も元は収穫祭でした。収穫物で代表的なのが、さつまいもと栗でしょう。さつまいもは神無月の代表的な食べ物で、焼き芋や大学芋、芋ようかん、芋ケンピ、干し芋などのお菓子の他に、天ぷらや芋ご飯など、さまざまな料理に使われます。秋ナスは皮が柔らかく、果肉に甘味と旨味があります。焼きナスや揚げ浸し、麻婆ナスなどで楽しめます。「秋ナスは嫁に食わすな」という諺がありますが、意味は諸説あります。また小豆がとれる時期でもあり、ぜんざい:がよく食べられます。出雲地方では「神在祭」でふるまわれる「神在餅」が有名です。これが「ぜんざい」の由来とされています。亥の子餅というのもあり、旧暦10月の亥の日に食べる餅で、無病息災を願っていただきます。求肥にあんを包んで作られ、きなこをまぶしたものが一般的です。神無月は神々への感謝や収穫の喜び、季節の食べ物も豊富です。
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