甘い、を考える
「甘い」といえば通常は味覚の甘さだけを意味します。しかし日本人の味覚としての甘さは外国人と異なり、飯や刺身などにも拡張されます。時には人間性への判断に比喩として用いられることがあります。また刃物の切れが悪いとか、子供などへの接し方にも使われます。また「脇が甘い」とか「詰めが甘い」など、意味が広く、感覚を伝えるのは大変です。英語では一般的にsweetで、味覚としての表現ですが、お菓子やケーキなどへの感覚は同じです。時にsugary(砂糖っぽい)と言うこともあります。好みとしては、日本は甘すぎないのが好まれますが、西洋人、ことにアメリカ人は強烈な甘さを好む傾向があります。日本人には頭痛がするほど甘いのが好きで、日本風の甘みではあまり感じない人が多いようです。「考えが甘い」のはnaïve(純粋な、子供っぽい)が使われることが多いようです。日本語でナイーブというと「神経質な」という意味にとられますが、ニュアンスは違うで、「ナイーブ」は日本英語と考えてください。「脇が甘い」というニュアンスもこの語で表現されます。「世間知らず」という意味だと、ignorant(無知な、知識がない、教育を受けていない)となります。無知とはきつい表現ですが、日本で「甘ちゃん」はそれほど非難されませんが、欧米ではかなり軽蔑的な意味をもつので使い方に注意する必要があります。「詰めが甘い」というのは、将棋や囲碁の用語から来ていますが、「最後に失敗する、最終段階でへまをする、」という意味です。つまり「前もってしっかり準備するべきだった」ということであり、「注意が足りなかった」ということでもありますので、I should have been more prepared.(もっと準備しておくべきだった。)とか、I was careless. (注意が足りなかった、うっかりしていた。)という訳が適当でしょう。「甘やかす」をspoilというので、「あいつは甘ちゃんだ」をHe is spoiled.ということもあります。「甘やかす」にはpamperという英語があり、He pampers his daughter.(彼は娘に甘い、娘を甘やかせている)のような表現があります。パンパースというと、日本ではオムツを連想するかもしれませんが、そういう意味の商品名です。日本では「甘い」を人や脇という範囲に広げて使う慣用句がありますが、英語だとsweet as pieは「パイのように甘い」ということですが、意味は「とても親切、とても暖かい、とても礼儀正しい」ということで、「甘ちゃん」ではないことに注意したいです。またsweet tooth(甘い歯)は歯が甘いわけではなく、「甘党」の意味です。Sweet dreamは「良い夢」ですが、「おやすみなさい」という挨拶に使われます。状況的に理解できます。Keep ~sweetは「~にごまをする」という表現です。He always keep his boss sweet.(あいつは上司にいつもごますっている)となります。英語のsweetも応用範囲が広く、良い意味があるので、「カッコいい」の意味にもなります。また日本でも有名になりましたが、sweetheartは「恋人」です。略してsweetieということもあります。恋人だけでなく、可愛い子供などにも使います。
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