Constitution



アメリカ合衆国憲法(United States Constitution)は1787年9月17日に作成され、1788年に発効し、現在も機能している世界最古の成文憲法です。欧州のどこかの国が最初のような気がするかもしれませんが、米国が最初です。改正が何度もなされているので原法典は「1787年アメリカ合衆国憲法」とも呼ばれて尊重されています。アメリカ合衆国は連邦制のため各州もそれぞれが独自の州憲法を有しています。
歴史的には英国植民地であった時代を経て1776年に各植民地代表者による大陸会議が独立宣言を発し共和政体を採用する13の邦statesが誕生しました。独立時の13州は連合規約を結んで地方分権的性格の強い緩やかな連合組織である諸邦連合 (the United States of America) を形成しました。日本ではこれを合衆国と訳しました。この諸邦連合は中央政府である連合会議 (Congress) に課税権・通商規制権限・常備軍保持が認められず極めて弱体であったため財政は行き詰まり治安の混乱にも対処できない状態でした。そのためペンシルベニア州フィラデルフィアでの連合会議での議論の結果1787年連合規約の改定の計画を承認し、憲法を制定するという提案を決めました。
憲法制定会議では中央集権的で強力な連邦政府の樹立を推す連邦派(Federalist後の連邦党)と反対する反連邦派(Anti-federalist後の民主共和党)の対立や農業を中心産業とする南部と商工業を中心とする北部の対立、大きな邦と小さな邦との間の対立など数多くの対立を抱えていました。「アメリカ合衆国憲法の父」ジェームズ・マディソンの原案は大きな州の利益に重点が置かれていたのでロジャー・シャーマンが妥協案を示し、下院は人口に比例した代議員数、上院は各邦を代表する各邦同数の代議員とし、大統領は選挙人によって選ばれるという現行の米国の議会の形になりました。
1789年第1回合衆国議会はアメリカ合衆国憲法に権利章典 (Bill of Rights) と呼ばれる第1修正から第10修正を付け加える件を審議し可決しました。この修正は1791年修正に必要な数の州議会の批准を得て発効しました。
憲法は13邦の歴史を持つアメリカの共和制から引き出されてきた伝統であり、憲法にある適正手続条項は1215年のマグナ・カルタに遡る慣習法に基づいており、中世の英国に由来する法の支配の思想の影響が大きいとされています。最も影響を与えた思想は専制政治を防ぐため互いに行使する力の平衡を保つ必要性を強調したモンテスキューの三権分立です。権利章典の修正条項には憲法が制定される過程で憲法の支持者達が反対者に対する取引として約束したもので英国の権利章典が米国の権利章典に影響を与え、陪審制による裁判、武器を携帯する権利、残酷な罰を禁じています。
日本の現行憲法は米国製と言われていますが、内容はかなり異なっています。

フィラデルフィア

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