count
カウンターといえばまず横に細長いテーブルを連想されると思います。元の英語のcounterもそういう用法が一番多いと思います。そのcounterは「対抗する」という意味もあり、counter cultureなどが最近話題になります。とくにアメリカでは従前の伝統的な社会に反抗する文化をそう呼んでいます。昔はヒッピー、今はBLMなどです。ボクシングファンならカウンターパンチというのをご存じでしょう。これは相手の逆を突くという意味です。しかしcounterにはさらに意味があり、counter partnerのように「相手方」という意味もあります。たとえば日米同盟会議において日本側の外務省高官に対して先方の国務省高官がcounter partnerであって必ずしも対立を意味しません。日本語でいう同格というニュアンスがあります。
日本は世界でも珍しい同盟国の少ない国で、同盟国は米国のみ。準同盟国が豪英仏加印の5カ国、計6カ国しかありません。つまりcounter partnerの少ない、お友達の少ない寂しい状態です。アメリカはお友達になりたい国が多いのでNATOを始めアジア、オセアニアに同盟国があります。ロシアは現在孤立しているような報道が多いのですが、それでもCSTOという同盟があり、アルメニア、ベラルーシ、カザフスタン、キルギル、タジキスタン、イラン、中国、ベネズエラの8カ国です。日本は何かというと国際化とか国連とか言い出す割に同盟の少ない国ということです。
Counterの元であるcountは数を数えるのが原義で、商取引や銀行などで金勘定をするテーブルや窓口がカウンターの語源です。会計をaccountというのは同じ意味です。英語のcounterの語源は2つあり1つは古仏語のcontouerでこれが数える方、もう1つは古仏語のcontreから来ています。この2つの違いは文法に反映しており数える、あるいはテーブルのcounterは名詞と動詞、対抗の方のcounterは形容詞です。複合語のcounter tableとcounter partnerでは品詞の違いが見えにくくなっています。文法に弱いアメリカ人にはほぼ違いがわかりません。なお大文字のCountは伯爵です。こちらの語源はcounteですから、元が違います。英語も借入語が多く、借り入れた段階でごちゃごちゃになっています。日本語でlock, rockがロックになってごちゃごちゃになるのも当たり前の現象といえます。Countから派生した語にaccountの他にencount遭遇するというのがあります。この語源は古仏語のencontreで対抗的な意味がありfightというニュアンスもあるので日本語の遭遇とは少し違うことも知っておくとよいです。直面する、でくわす、衝突すると訳されることがしばしばあります。
本日は英国女王エリザベス二世の葬儀です。数少ない同盟国元首ですのでしめやかにご冥福をお祈りしたいところです。
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