World Mental Health Day



10月10日は世界メンタルヘルスデーです。日本はスポーツの日という祝日です。つい最近(2019)までは「体育の日」で1964年の東京オリンピックの開会日であったことを記念したものです。名称変更の理由は「「スポーツ」は、「体育」より広い意味を持ち、自発的に楽しむことを含意することが変更の理由」だそうです。唯一のカタカナの祝日で、スポーツ議員連盟の提案だったそうですが、不思議な祝日です。世界的にはこの日はメンタルヘルスの日で、mentalはphysical の対語ですから、外国から見ると日本は精神と身体をまぜこぜにしている文化だという誤解も生まれそうです。今年の厚生省主催のイベントでは前半がアスリートによる対談、後半が専門家による対談となっており正にその文化を反映しています。「健全な精神は健全な身体に宿る」という反論がきそうですが、そもそもこれが誤訳であったことは知られていません。この名言は古代ローマの詩人・ユウェナリスのもので、彼は風刺詩人で原義は「「健やかな身体に健やかな魂が願われるべきである」という意味だそうです。つまり「そうであればいいのに…」という願望を表現した一説で、ユウェナリスは「現実はそうでないことが多い」ことを嘆いていた(https://precious.jp/articles/-/11589)のです。
メンタルというと最近では「心」という意味で使われることが多く「あの人はメンタルが強い」のように精神力の意味もあるようですが、mentalは英語の形容詞であり日本語ではよくこういった形容詞がそのまま名詞として使われることがあります。英語のmentalの語根であるmentは英語になく、印欧語族に共通する「考える」という意味の祖語です。英語のdementiaは痴呆症(現在は認知症)であり、amentiaは精神薄弱というどちらも専門用語になっています。日本語のメンタリストはDaiGoという超常現象パフォーマーが自称して問題になったことがあります。彼だけが悪いわけではなく、アメリカのテレビドラマでThe Mentalistというのがあり、映画解説によると「歴史的な意味において、メンタリストとは霊能者やエセ占い師のようなニュアンスで用いられる用語でした。 極端にいえば、詐欺師のようなかなりネガティブな意味合いをもつ用語です。 その後、主に心理的なトリックを用いて観客を楽しませるマジシャンが「メンタリスト」と呼ばれるようになりました。 従って、現在欧米で「 メンタリスト 」を名乗っている方の大半は、マジシャンです。」としています。唯心論者と訳されることもあります。祖語の原義が「考える」でも長い歴史の中で意味がどんどん変化し拡大していきます。唯心論の解説はwikipediaでもご覧ください。そこでは唯心論者はspiritualismとなっており、キリスト教の理想でもあります。精神や心理、精霊、スピリチュアルなど幅広い心の問題であることも理解しておきたいものです。

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