手話の雑学60

ここらでまた、品詞の話に戻ります。日本語の伝統的な分類では、大きく次のような品詞があります。学校で習った文法の再学習をしてみましょう。
自立語と付属語
文の中で単独で意味をもつ「自立語」と、単独では使えず他の語にくっついて意味を添える「付属語」に分けられます。たとえば「私はリンゴを食べます」の中では、「私」「リンゴ」「食べ」は自立語、「は」「を」「ます」は付属語です。
主な品詞の種類
・名詞(人や物の名前を表す)
・動詞(動作や変化を表す)
・形容詞(性質や状態を表す。「〜い」で終わることが多い)
・形容動詞(「静かだ」「便利だ」など「だ」がつく性質語)
・副詞(動詞や形容詞を修飾して程度や様子を示す。「とても」「すぐに」など)
・連体詞(名詞を修飾する。「この」「大きな」など)
・接続詞(文と文をつなぐ。「しかし」「だから」など)
・助詞(文の関係を示す。「が」「を」「に」「は」など)
・助動詞(文末で意味を補う。「〜ます」「〜たい」「〜られる」など)
・感動詞(感情を表す。「ああ」「はい」「えっ」など)
英語ではparts of speechと呼ばれます。英語では名詞、動詞、形容詞、副詞、前置詞、代名詞、接続詞、冠詞、感嘆詞などに分類されます。日本語と共通点も多いですが、「助詞」や「助動詞」のような日本語特有の品詞は、英語には直接の対応がない点が面白いところです。つまり品詞分類は文法の基本ともいえ、言語によって違いがあることが明白です。
日本手話文法については、まだ研究途上ですから、日本語文法や英語文法を参考にして、「独自の」文法を作り上げていかねばなりません。そしてなにより「手話の品詞分類は曖昧」という課題を解決しなければなりません。結論からいえば「手話には品詞がない」のではなく、「日本語や英語などとは異なる文法のため、まだ品詞が確定できていない」が正しいです。そこで手話学としては、現代の文法論を参考に、手話文法を考えるため、「文法的機能」を調べることになりました。上記の日本語文法では名詞は「人や物の名前を表す」と説明されていますから、実際の人の名前つまり「山田」「イタリア」などの固有名詞は名詞とわかります。動詞は動作や変化を表す」のですが、「走る」や「変わる」などが該当します。問題は、手話には動きがあるので、たとえば「花」と「花が咲く」の違いはありません。ここが「手話の品詞が曖昧」といわれる由縁です。
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