相嘗祭
相嘗祭(あいなめのまつり、あいんべのまつり、あいにえのまつり)は、新嘗祭に先立つ11月の初めての卯の日に行われる神道祭祀です。今年は11月10日が初卯の日です。「日本書記」によれば天武天皇五年(676)神無月五日に初めて挙行されたそうです。明治になって新暦になってからは一月遅れの11月に行われるようになりました。相嘗祭は天皇が秋の農作物の収穫を祝う神事で、神々と天皇とが供饌しあうことから「相嘗」と呼ばれるのだそうです。相嘗祭は新嘗祭に先立って行われます。相嘗祭と似たものに神嘗祭(かんなめさい)というのがあります。これも新嘗祭に先立って行われます。神嘗祭は伊勢神宮に全国から集められた稲の初穂を奉納する行事であるのに対し、相嘗祭は伊勢神宮以外の全国の神社に初穂を奉納する行事です。神嘗祭は長月十七日が本来ですが、新暦になってからは10月17日になっていますから、相嘗祭よりさらに前です。相嘗祭はかなり廃れてきており、現在でも行われているのは賀茂別雷神社(かもわけいかづちじんじゃ)です。通称上賀茂神社のことです。神嘗祭、相嘗祭に続いて新嘗祭が宮中で行われます。天皇陛下が初穂をお召し上がりになる神事ですが、11月23日に行われ、これが現在勤労感謝の日となって残っています。戦後、神事に関する行事はすべてGHQにより排斥された結果ですが、ほとんどの国民は何に感謝していいのかわからないのではないでしょうか。農業は天候や自然次第であり何より神様に収穫を感謝することは当たり前のことです。米国のThanksgiving Dayも神への収穫の感謝であり、今月末のHalloweenも元は収穫を祝う行事でした。GHQは文化・宗教・習慣といった伝統について全く理解がなかっただけでなく、不当な干渉を行ったわけで米軍の独善的価値判断の犠牲になったといえます。
新嘗祭は例年行われるのですが、天皇が即位後初めて行われる新嘗祭を大嘗祭と称し大規模に行われます。大嘗祭を行う祭祀の場所を大嘗宮といい、大嘗祭のたびごとに造営され、斎行された後は破却、奉焼されるのですが、令和の大嘗祭から初めて資材が再利用されました。これも時節柄でしょうか。今上陛下の御心でしょうか。一方で新築される宮様もおられ、しっくりしない気持ちが残ります。
私たちは新米が出回ると喜んで賞味します。今でも米好きが多いのですが、作っている農家さんへの感謝やさらに神様への感謝の気持ちを持つことは自然なことです。神嘗祭、相嘗祭、新嘗祭と続くのは稲作がいかに日本文化の基底にあるかを再認識する機会であり、さらに祈年祭という次の豊作祈願へと続いていく行事を大切にしたいものです。各地域では秋まつりとして豊作祝いと豊作祈願の行事が行われます。その意味も理解した上で祭りに参加してみることが最初でしょう。
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