速記
今ではほとんど見かけなくなりましたが、10月28日は速記の記念日だそうです。日本速記協会(https://sokki.or.jp/)によれば、1882年(明治15年)のこの日、田鎖綱紀(たくさり こうき、1854~1938年)が東京・日本橋で初の速記講習会(日本傍聴筆記法講習会)を開催しました。この速記法は田鎖が自ら考案したもので、その速さから田鎖は「電筆将軍」と呼ばれたそうです。1888年(明治22年)に、講習会の7周年記念会を開いた時にこの日を「速記記念日」として制定したそうです。今年は140周年になるので記念の年でもあります。速記というと話された言葉をそのまま手書きで書き取るというイメージですが、近年はキーボードを利用したりコンピュータを利用することもあるそうです。速記を学ぶメリットは「電話や取材、講義ノートがしっかり記録できる、漢字や語彙の知識がふえる、集中力と注意力が高まる、時事問題に、より関心が深まる」ことがあるそうで(同HP)暗号のような速記文字ですが、練習次第でどなたでも覚えられるそうです。同協会のホームページによれば「世界で最古の速記史料は、ギリシャのアクロポリスで発見された大理石の破片と言われています。紀元前350年ころのもので、簡単な符号でアリストテレスらへの献辞が刻まれていました。」これは速記といえるかどうか疑問もあります。「発言を記録するために速記が広く用いられるようになるのはローマ時代になってからです。ローマの弁論家キケロは、紀元前63年、元老院でカティリナの弾劾演説を行いました。キケロの解放奴隷であったティロは、この演説をすぐさまろう板に鉄筆で記しました。これが現代につながる速記の起源とされています。」ということだそうですので、最初は切迫した理由があったのですね。「近代速記法の起源は、1588年、イギリスのティモシー・ブライトが発明した速記法といわれています。当時のイギリスは、エリザベス一世の絶対王政にあって、宗教で政治が混乱した時期でもあり、ほかの人には読めない速記法が「秘密の速記法」として注目されたともいわれています。その後、1837年にアイザック・ピットマンが、単純な符号を使ってあらわす記音式速記法を発明し、筆記のスピードを格段に向上させました。このピットマン方式は世界の近代速記法に大きな影響を与え、半世紀後、日本にも田鎖式速記法が誕生します。」という歴史だそうです。こういう歴史はあまり見ることがないので勉強になります。速記には暗号としての機能があることも初めて知りました。今は音声の録音やビデオ録画が普及し速記の必要性は少なくなりましたが、1つの文化として技法を残しておくことも遺産としての価値はあると思います。算盤が今でも人気があるように、速記にも似たような人気もあるようで、コンテストなども開かれているそうです。
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