万聖節



ハロウインは11月1日の万聖節 All Hallows’ Day の前夜祭なので、クリスマスイブのようなものです。万聖節にはいろいろな呼び名があって現代英語として All Saints’ Day 諸聖人の日ということもあります。カトリック教会の祝日であり、すべての聖人や殉教者を記念する日です。カトリックと同様、イギリスの聖公会やギリシア、ロシアなどの正教会でも祭日となっていることが多いようです。聖人の定義は宗派によって異なっていて、聖母マリアやイエスの使徒であった人の他に、教皇なども含まれ、各教会が認定するため、現代でも聖人とされている人がいます。殉教者は文字通り信仰のために命を失った人です。英語ではmartyr(マータア)といいますが、宗教上の理由でなくても社会的な意味で何かに殉じた人の総称です。受難者ともいいます。
日本でもよく知られた「聖者の行進」というジャズの名曲がありますが、歌詞をよく見るとすごい内容です。Oh, when the saints go marching in, I want to be in that number.
とあり、「私も聖人の仲間入りしたい」と言ってるのですから、殉教者になりたい、つまり死にたい、と言ってるわけです。その意味から、葬儀や埋葬の時にこの曲が奏でられることが多いです。曲が陽気なので、日本人は内容を想像していないので、映画などで黒人の葬儀のシーンでこの曲が流れると違和感があります。
キリスト教は一神教なのになぜ聖人を崇拝するのか、という疑問を持つ人もいると思います。日本の神道や神々や仏教の仏様と違い、聖人は神ではないことに注目してほしいのです。キリスト教では崇敬・尊崇と崇拝は異なる意義付けをなされています。キリスト教徒は聖母マリアや諸聖人を崇拝しているわけではなく、聖人を敬うことと拝むことは同じではありません。神への信仰と聖人への敬意はまったく別のものと考えられています。聖書にも偶像を崇拝してはならない、と定められていますが、古くからある正教会・東方諸教会・カトリック教会では聖人の像や生涯を描画した聖画像(イコン)を作り、崇敬の対象としています。一時期、聖像破壊運動で古代の多くの聖像は失われましたが、この運動が及ばなかった地域やそれ以前にカトリック教会やギリシア系の正教会と分かれた東方諸教会の聖堂には古いイコンが残っています。聖人の祝日は基本的にそれぞれの聖人に個々に決まっていて、幾人かの聖人は他の聖人と共通の祝日をもってこともあります。ペトロとパウロ祭がその例です。また守護聖人の考えもあり、成人個人のほか、特定の団体や地域に対してある聖人が特別な加護を与えているという場合もあります。アイルランドの聖パトリックの日はすべてを緑で飾る習慣がありアメリカでは有名ですが、日本ではあまり知られていない祝日の一つです。北欧では聖ルシアの日が有名ですが日本にはまだ入ってきていないようです。

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