文化の日
11月3日は文化の日で休日です。しかし日本人の多くはその意味を知らないのではないでしょうか。「文化勲章が授与される日」ということで、芸能人の文化功労者授賞ばかりがテレビマスコミに流されます。本来なら文化勲章の方が格上なので、そちらの紹介の方が大切なはずですが、テレビは衆愚と思い込んでいるせいか、そちらの報道はほとんどないです。昔、テレビによる総白痴化という批判がありましたが、当たっているのかもしれません。
Wikipediaによれば「文化の日は、国民の祝日に関する法律(祝日法、昭和23年7月20日法律第178号)第2条によれば、「自由と平和を愛し、文化をすすめる」ことを趣旨としている」と定められています。そして「1946年(昭和21年)に日本国憲法が公布された日であり、日本国憲法が平和と文化を重視していることから、1948年(昭和23年)に公布・施行された祝日法で「文化の日」と定められた」と解説しています。しかし「休日としては、1873年(明治6年)に公布された年中祭日祝日の休暇日を定む(明治6年太政官布告第344号)以降1911年(明治44年)までは天長節、1927年(昭和2年)に改正された休日に関する件(昭和2年3月4日勅令第25号)以降1947年(昭和22年)までは明治節として、明治天皇の誕生日による祝日となっている。」という歴史についての解説がありますが、ほとんどの人は知らないと思います。「しかし近年、明治天皇の誕生日へと由来を戻し「明治の日」への改称を目指す動きがある。」とも解説しており、新しい動きがあります。実際、昭和天皇の誕生日(4月29日)は昭和の日という祝日になっています。そうなると1つ前の大正天皇の誕生日である10月31日は大正の日でないと矛盾してきます。大正期の天長節は短期であったことや祝日が増えすぎることへの批判があってなくしたようですが、現在のようにハッピーマンデーのように無理やり移動させて休日を増やそうという観光推進目的の祝日増加よりは筋が通っていると思います。
このことが示すように祝日法は時々の事情で変わるご都合主義的な制度なので、論理や倫理などとは無関係です。とても「文化」というにはほど遠いものです。それで「自由と平和を愛し、文化をすすめる」と言われてもピンと来ないのは当然です。そもそも文化はすすめるものでしょうか。日本文化は誰かがすすめるものではなく、歴史的に自然に出来上がったものですし、現在も新しい文化が生まれています。そういう文化理解が必要なのはむしろ法律を制定する政治家や官僚の方だと思われます。異文化理解がやたら叫ばれる今日、まず国の指導者が文化について理解するのが文化の日の最大の目的という皮肉な現象になっています。
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