再び米西海岸ドライブへ


十三夜の月のイラスト

連休も過ぎ、再びドライブ旅行記です。前回はサンディエゴからロスアンジェルスまでの、いわば南部海岸です。今回はサンフランシスコまでの北部海岸をドライブします。南部海岸はビーチがほとんどでしたが、北部海岸は磯が中心になります。それには理由があります。

まず、海岸地形の違いです。南カリフォルニア(LA〜サンディエゴ)はだいたい沈降海岸で、海岸線がなだらかです。そのため、砂が堆積しやすく、広い砂浜が形成されることになります。

北カリフォルニア(サンフランシスコ〜オレゴン方面)は隆起海岸で、地殻変動により断崖・岩盤が露出しやすいため、砂が溜まりにくく、岩場・磯・海食崖が多いのです。北部は「ドラマチックな断崖と岩の海岸線」として紹介されるほど、地形そのものが岩場を作りやすい地域です。

また、波と海流の強さの違いも指摘されます。北カリフォルニアは波が強く、海流も荒いため、砂が流されやすく、砂浜が維持されにくいという特徴があります。南カリフォルニアは波が比較的穏やかで、砂が安定して堆積しやすいのです。北部の海岸がアメリカで「rugged(荒々しい)」と表現されるのはこのためです。カリフォルニアは南北に長いため、気候帯の違いもあります。南部が温暖なのに対し、北部は寒冷多湿です。南部は乾燥・温暖で、河川が運ぶ砂が海岸に堆積しやすいのに対し、北部は冷涼で雨が多く、侵食が進みやすいため、岩盤が露出しやすく、砂浜が形成されにくい、という特徴もあります。さらには、地質の違いもあります。南部は砂岩・堆積岩が多く、波で砕かれやすいため砂の供給源になるのに対し、北部は花崗岩・玄武岩など硬い岩盤が多く砂になりにくいという傾向があります。北部海岸が「岩の海岸線」「海食崖」「海食洞」で有名な景勝地が多いのはこのためです。

ロスアンジェルスは南部に属するのですが、ここがカリフォルニアの中心として、ハリウッドができたり、大学ができたりしたのは、こうした気候との関係が深いです。そして、カリフォルニアは昔から「南北紛争」があり、それは水資源の問題です。南部は雨が少なく、映画撮影には向いていても、生活水の確保には悩んできました。遥かコロラド河から巨大なパイプで通水したり、溜池を作るなどの開発が必要でした。北部は雨も多く水の心配はありません。そこで北部から南部への運河建設が長い間の課題になっています。実際、運河はあるのですが、大量の水が流れるようになると、北部の水がなくなるのではないか、という不安が北部にあります。しかし南部の農業には水が不可欠です。20世紀にはオーエンズバレー水争奪戦(1900〜1930年代)と呼ばれる事件があり、LA市が北方のオーエンズバレーの水利権を買い占めたことに対し、農民が反発し、水道管爆破事件まで発生しました。その後も何度も紛争があり、現在でも北部のサクラメント・サンホアキン・デルタの魚類が絶滅の危機にあり、環境保護を優先する北部と、人口の多い農業と都市の水を優先する南部は法廷闘争が続いています。日本ではほとんど知られていませんが。

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