一汁三菜



11月13日は一汁三菜の日だそうです。例の語呂合わせですが、フジッコ株式会社・ニコニコのり株式会社・キング醸造株式会社・株式会社はくばく・株式会社ますやみそ・マルトモ株式会社)で構成する6社が制定したそうです。ほとんどの記念日は業界団体か1社が提案したものですが、珍しく協同提案になっています。主眼は「一汁三菜 ぷらす・みらいご飯」ということだそうです。さまざまな栄養素がバランスよくとれる「一汁三菜」(主食・汁物・主菜・副菜・副々菜)という和食のスタイルを子ども達につなげていくことが目的ですhttp://www.marutomo.co.jp/miraigohan)。栄養バランスだけでなく、美味しくてヘルシー、しかも見た目に良いのが和食ということです。本当はこの日だけでなく毎月13日を一汁三菜の日として定着し国民の意識を高めようということらしいです。和食は2013年(平成25年)12月に日本人の伝統的な食文化としてユネスコ無形文化遺産に登録され、世界的にも注目されている、という紹介がよくなされます。実際にはユネスコに登録されたからではなく、はるか昔から「理想的なベジタリアン・フード」として紹介している英文の本が何冊もあります。「日本に行きたい」という人の中にはベジタリアンが相当います。ベジタリアンとは菜食主義者という意味ですが、仏教は元から肉食を避ける教えですから、仏教国である日本の歴史の中でいろいろな創意工夫がされてきた伝統的文化の1つです。日本で肉食が導入されたのは明治以降で、欧米列強と互角に戦うには肉食をして体力を上げるという富国強兵政策の一環だったわけです。今では和食に分類されるすき焼きやトンカツ、カレーなどは明治以降の食文化です。6社の提唱の「みらいご飯」は「一汁三菜」にみらいに向けてプラスし、見た目もきれいな「カラフルご飯」や「スマートご飯」「イベントご飯」を提案し、「多様で新鮮な食材とその持ち味の尊重」「健康的な食生活を支える栄養バランス」「自然の美しさや季節の移ろいの表現」「正月などの年中行事との密接な関わり」を和食の四つの特徴をあげています。ここまで説明されると民間会社の提唱というより政府広報みたいな感じがしてきます。和食は伝統文化なので実際には日常的なものです。伝統というのは昔の習慣の維持ではなく、新たなものを採り入れつつ常に自然に変化していきます。和食も肉食が入るのが当たり前になっており、豪華版だと和牛のステーキやすき焼が入っています。融通無碍(ゆうずうむげ)です。しかし一汁一菜という粗食を提唱する料理人もいて、一汁一菜も工夫次第で栄養バランスも良く健康で長寿になれるといいます。寺では一汁一菜の食事を守っており、作務と修行をこなしています。現代は一品物の丼ものが増えておかずなしだった江戸庶民のようになっています。昔は一汁一菜さえ贅沢だったわけです。

一汁三菜

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