ワシントン州名の由来

ワシントン州(Washington)の州名は、アメリカ合衆国初代大統領である George Washington に由来します。現在のワシントン州は、19世紀半ばまでは広大な Oregon Territory の一部でした。しかし人口増加に伴い、1853年にオレゴン準州北部を分離して新たな準州を設立することになりました。
当初、この新しい準州は「コロンビア準州(Columbia Territory)」と名付けられる予定でした。これは地域を流れる Columbia River に由来する名称です。しかし、当時すでに首都を含む District of Columbia (DC)が存在しており、混同を避けるため、連邦議会で名称変更が提案されました。そこで採用されたのが、建国の父として尊敬されていたジョージ・ワシントンの名前でした。こうして1853年に「ワシントン準州(Washington Territory)」が誕生し、その後1889年にアメリカ合衆国42番目の州として昇格した際も、そのまま「ワシントン州」となりました。
興味深いことに、アメリカでは州名の多くが先住民の言語や地名、あるいはヨーロッパの王侯貴族に由来していますが、実在したアメリカ大統領の名前を州名にした例はワシントン州だけです。そのためワシントン州は全米でも非常に珍しい州名を持つ州と言えます。
ただし、「ワシントン」という名称はしばしば首都の Washington, D.C. と混同されます。そのためアメリカ国内では「Washington State」と呼んだり、単に「The State of Washington」と表現したりすることが一般的です。
ちなみに、ジョージ・ワシントン自身はアメリカ東海岸の人物であり、現在のワシントン州の地を訪れたことはありません。それでも彼の名は、太平洋岸北西部の豊かな森林や山々、そしてシアトルやスポケーンなどの都市を抱く州の名称として今日まで受け継がれています。
つまり、ワシントン州の名前は「建国の父への敬意」と「コロンビアという名称との混同回避」という二つの理由から誕生したものなのです。なお、もし当初の案が採用されていたなら、現在のシアトルは「コロンビア州最大の都市」と呼ばれていたかもしれません。これはアメリカ史の小さな“もしも”の一つと言えるでしょう。
コロンビアというのは無論、コロンブスから来た名称です。アメリカでは長く「初めて」という意味でコロンビアという名称がつけられました。コロンビア・レコードが有名です。日本ではColumbusをコロンブスと言いますが、英語ではコランバスです。従ってコロンビアもコランバスというのが英語風です。テレビで人気があった「刑事コロンボ」もコランボウというのがアメリカ風です。誰が最初にそう呼んだのかわかりませんが、一旦定着するとなかなか変わらないものです。蛇足ですが、最近、日本ではAwardを「アワード」と読むのが一般的になっていますが、これも「アウォード」が英語風です。ローマ字読みしか知らない人がそう呼んだからでしょうね。こういう「日本英語」はかなりたくさんありますので、調べてみてください。アメリカではWashingtonもウォシントンと読む人がかなりいます。Waはwater, walkなどウォと読むことが一般的ですが、日本では混在しています。
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