Viral Marketing



2005年(平成17年)11月25日、株式会社タイトーがPSPゲームタイトル「EXIT」が開始され、そのキャンペーンを手がけたロカリサーチ株式会社が制定したのが、バイラル・マーケティングの日です。バイラル・マーケティングとはいわゆる口コミを利用し、低コストで顧客の獲得を図るものです。口コミは、語源としては人の口から口へと情報が伝播していくことですが、インターネットやSNSが発達した現在では対面に拠らない口コミの情報伝達の方がむしろ盛んです。いわゆるbuzzるです。

Viralとは「virus(ウイルス)のような」という意味で、コロナ・ウイルスは人から人へと爆発的に感染しましたが、SNSでは人から人という点は同じですが、情報の「感染力」は桁違いです。情報発信力のある人をインフルエンサーといっていますが、正にインフルエンザと同じように、情報の局所的流行があっと言う間に世界へと広がっていきます。この「ウイルス的感染性」を販売戦略に活かそうというのがバイラル・マーケティングviral marketing(以下VMを省略)です。訳語はまだないようですが、意訳すると伝染販売、口コミ商法といったところでしょうか。

VMに必要な要素はmessenger, message, environment(JULIA KAGAN, March 28, 2022)だそうですが、この概念はシャノンの情報理論の媒体を環境に変えた程度の改定なので、現代的に書き直すと、P2P, 情報, メディアが三要素ということになります。情報をさらに広報戦略として考えるなら、コンテンツということになります。実際、viral contentという用語が広がってきています。

VMに限らず、新技法の解説者は利点や長所にのみ焦点を充てがちですが、欠点もあります。口コミの欠点は流言飛語や誹謗愁傷が多いことです。社会心理として人を褒めたりpositiveな発言よりも、人を中傷するnegativeな発言が興味を引き拡散する傾向が顕著です。それを悪用した、いわゆる炎上商法もあります。VMを推進する前提として、透明性や正直、事実といった基本的なルールを守った運用をしないと、せっかくの技術も普及しません。長期的には淘汰されていくのですが、初期段階でつまづくと発展しません。現状のいろいろなSNSはこうした欠点が見え始め少しずつ改正への方向が出始めています。利用者の倫理観の熟成が大きな課題ですが、そのためにVMを活用することも1つの可能性といえます。

ウイルスは一般に悪いイメージですが、医療では役に立つウイルスもあります。

インフルエンサー

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