原子力の考察
原子炉といえば原発つまり原子力発電所の発電装置のことですが、できた当初は「夢のエネルギー」として喧伝されたのが、東日本大震災以後、反原発運動が盛んになり悪者となってしまい、百八十度の転換になりました。
原子炉は1942年12月2日シカゴ大学の実験用小型原子炉でウランの核分裂の持続的な連鎖反応に成功したのが始まりですが、すっかり嫌われてしまい記念日もひっそりとしています。原子力は原子爆弾による被害の問題ともリンクして不要なもの扱いですが、世界では実際に原発が多く稼働しており、環境問題を重大視していたオバマ政権でもむしろ火力発電よりもクリーンだとして推奨していました。むろん原発反対運動は世界でもあります。
原子炉は原子力発電所だけでなく航空母艦、潜水艦、大型の軍用艦艇などに使われるのですが、日本は原発のみです。また核種変換による核物質生産や研究のための中性子源などにも使用されています。
原子力は英語ではnuclear energyといいます。原子はatomなので日本ではatomic powerと訳すことが多いようです。英語を直訳すると核エネルギーなので、そう呼ぶこともあり混乱がみられます。日本語では原と核は同義的に使われますが、原理的にはレベルが違います。核は原子核の略です。原子は正電荷を帯びた原子核と負電荷を帯びた電子から構成されています。原子核は原子の構成要素ですから別物です。原子核は陽子と電気的に中性な中性子から構成され、陽子と中性子の個数の合計を質量数といいます。陽子がプラス、電子がマイナスの電荷でバランスがとれていて、原子の重さや性質は原子核が決めているのです。まずこれが理解の基本です。
原子が結合して分子を構成します。元素という用語もでてきますが、元素とは原子の種類のことです。たとえば水の分子はH2Oつまり水素2個と酸素1個の元素が結合しています。二酸化炭素CO2と一酸化炭素COでは酸素1個の違いにすぎませんが、人間の身体への影響はまったく違います。これは分子の違いです。
原子力のしくみの詳細は検索してください。核エネルギーは原子核を別の原子核に変換すると出てくるエネルギーで核崩壊、核分裂、核融合があります。現在の原発では核分裂を人工的に起こして、そのエネルギーで高温の水蒸気を発生させ、タービンを回して発電しています。その元となる元素はウランとプルトニウムという質量数の高い特殊な元素のみです。核融合はまだ研究途上ですが、太陽のエネルギーは核融合であり、核エネルギーですので広い意味では太陽光発電も核エネルギー発電といえます。
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