大雪(たいせつ)



オオユキではなくタイセツと読んで、二十四節気の1つです。旧暦だと神無月から霜月にいたるどこかの日ですが、太陽暦ではだいたい12月7日頃になります。大雪の終わりの翌日が冬至になります。地域にもよりますが、雪国では初雪は既に過ぎ、本格的な雪景色になる地域が多い頃です。二十四節気をさらに分けた七十二侯では大雪は初候:閉塞成冬(そら さむく ふゆとなる):天地の気が塞がって冬となる時期で、古代中国では??不鳴(かつたん なかず):ミミキジが鳴かなくなる時期だそうです。ミミキジは河北省、陝西省にのみ生息する固有種で絶滅危惧種に指定されています。
次候:熊蟄穴(くま あなに こもる) : 熊が冬眠のために穴に隠れる時期で、その前の晩週に餌を求めて里山に出没します。中国では虎始交(とら はじめて つるむ):虎が交尾を始めるそうです。虎は冬に交尾するのですね。末候:?魚群(さけのうお むらがる) : 鮭が群がり川を上ってくる時期です。今は北海道と新潟などが有名ですが、昔は全国の川で鮭の遡上があったそうです。日本の川は少しずつ浄化されているので、やがて元のようになるかもしれませんし、そうなってほしいものです。中国では茘挺出(れいてい いずる):ネジアヤメが芽を出し始める時期というそうです。ネジアヤメというのは日本のヤマショウブ(ノハナショウブ)の近縁で、葉がねじれるところからネジアヤメというのだそうです。中国や朝鮮半島の乾燥地帯に生息するアヤメのような艶やかさはなく、素朴な感じを好む人が鑑賞用に栽培しているそうです。アヤメといえば日本では初夏のようなイメージですが、芽が出るのは冬なのですね。アヤメに似たような花でアイリスというのがあり、ネジアヤメもジャーマンアイリス(ドイツアヤメ)に似ていると形容する人もいます。

大雪の時期の食べ物としては牡蛎や鰤(ぶり)などの海鮮のおいしい時期になり、蕪、大根、人参、里芋、薩摩芋、南瓜(かぼちゃ)、牛蒡(ごぼう)、蓮根などの根菜類が旬を迎えます。となれば、寒くなってきますから、鍋物の季節ということになってきます。鍋の種類は多いですから、楽しみが多い季節でもあります。
七十二侯には挙げられていませんが、山茶花や椿が咲き始めます。「たき火」という童謡もこの季節の歌です。またこの時期に針供養を行う地域が多いです。今は裁縫をする人が少なくなり、針供養も専門職の人だけになっていますが、昔は女性のたしなみの1つでした。ジェンダーフリーとかで職業の性別は社会悪のように言われますが、洋の東西を問わずお針子という職業が題材になっている作品も多いです。こうした昔からの習慣がだんだん廃れるのはしかたのないことですが、寂しい気もします。

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