初辰



旧暦1月8日は初辰です。初辰と聞いてピンと来る方はほとんどないと思います。旧暦ではすべての日に干支が当て嵌められています。まず十二支については説明不要でしょうから十干の説明をします。十干とは五行で説明した、き(木)、ひ(火)、つ(つち)、か(金)、み(みず)にエとトを組み合わせた十種類で、きのえ、きのと、ひのえ、ひのと、つちのえ、つちのと、かのえ、かのと、みずのえ、みずのと、です。これに漢字が充てられています。甲(こう)・乙(おつ)・丙(へい)・丁(てい)・戊(ぼ)・己(き)・庚(こう)・辛(しん)・壬(じん)・癸(き)です。甲乙は見たことがあると思いますが、他はあまりないかもしれません。昔はこれが順序になっていて、成績も甲乙丙でつけられていましたから、全甲は今でいうオール5です。兵隊検査も甲種合格とか乙種合格のように体格などで分類されていました。現代ではなくなったかというとそうでもなく、契約書などでは「〇〇を甲とし、△△を乙として…」のような書き出しになっています。法律の世界は未だに明治のままなのですね。

干支は日にちだけでなく、年にも充てられています。今年は壬寅(みずのえとら)です。寅年は知っていても十干の方は知らない人が多いと思います。十干十二支は60組なので60年で一回りして最初に戻ります。最初は甲子(きのえね)です。甲子太郎という名前とか甲子園のように作られた年によく使われます。甲子園球場は大正13年の甲子に建設されたことは阪神ファンなら誰でも知っています。自分の生まれ年が一巡すると還暦になります。昔はそれまで生きる人が少なかったので長寿を祝う習慣が残っています。停年制度もこれが基準となったのですが、長寿の現代は還暦にはそれほど意味がないかもしれません。干支の年号を有名事件に充てることも多く、戊辰戦争、壬申の乱のように歴史に残っている場合もかなりあります。

初辰はその年の初めての辰の日の行事です。本当は初子から初戌まであるのですが、七草まではいろいろ行事があるので、七草を過ぎてからの祭日が今年は初辰です。初辰参りで有名なのは大阪の住吉大社で家内安全・商売繁盛を祈祷します。本来はまず種貸社でお種銭を授かり資本の元にし、子宝を祈願します。次に楠?社で招福猫、浅澤社で弁天様に芸事や美容のお願いをして、大歳社で小石に「大」と書かれた大歳守(おおとしまもり)をいただき集金のご利益を祈願します。これだけ回ると御祈祷料もそこそこかかるので一番儲けられるのは住吉さんかもしれません。

辰の日は12日おきに毎月ありますから、最初の辰の日にお詣りすることを4年間48回続けると満願で四十八辰(しじゅうはったつ=始終発達)という語呂合わせになります。日本の文化は語呂合わせが多いのが特徴的です。

初辰

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