鉄腕アトム



2003年4月7日に鉄腕アトムが誕生しました。というと驚かれるでしょう。そういう想定になっているというお話です。実際に鉄腕アトムが漫画として描かれたのは1952年だそうですから、もう70年前で、テレビアニメとして放送されたのが1963年で、それでも60年近く前です。想定によれば今年で19歳ですから成人の仲間入りということになります。
鉄腕アトムの日本での英訳はMighty Atomですが、アメリカでの名称はAstro Boyつまり宇宙少年ということになっています。原子という名称にはアメリカ的には違和感があるからだと思われます。
鉄腕アトムのスペックは歌にあるように10万馬力、ジェット推進で超小型原子炉を体内に持っていることとされています。ところで1馬力とはどれくらいの力なのか、調べてみました。なんでも英馬力と仏馬力があるそうで、元々は名前の通り、1頭の馬が継続的に車を引っ張る力ということでしたが、馬にもよりますし、車にもよりますからものすごく曖昧でした。馬力という単位はジェームズ・ワットが蒸気機関の能力を示すのに標準的な荷役馬1頭のする仕事を基準としたことに始まり、これが英馬力の起源だそうです。「1秒間につき550重量ポンド の重量を1フィート 動かすときの仕事率」で、計算上馬の牽引力の平均が180重量ポンド、1時間ウマに牽引させ進んだ距離が10,852フィートで、したがって1時間当たりの仕事率は1953,360フィート・重量ポンド/時になります。1分当たりは556フィート・重量ポンド/分、となり、1秒当たりを算出すると550フィート・重量ポンド/秒となります。それをワットで表すと、1英馬力は約745.700ワットというのが英馬力です。仏馬力はメートル法に基づいて、英馬力の値に近づけながらも可能な限り簡素な数値によって定義したもので「1秒間につき75重量キログラム の力で1メートル動かすときの仕事率」となっています。1仏馬力は 735.49875 ワットで、それを元にして日本では735.5 ワットになっています。もっともこれでパッと理解はできませんね。平均して人間が発揮できる瞬間的な馬力は0.5、持続して発揮できる馬力が0.1と言われています。軽自動車が50馬力程度は自動車は50~300馬力程度で新幹線は2万馬力以上、ジェット戦闘機は8万~20万馬力以上、ロケットのエンジンは320万馬力なので、鉄腕アトムは新幹線を止められますが、ジェット機の一部は止められません。近代ロケットも止められないということになります。
鉄腕アトムが描かれた時代は原子力が夢のエネルギーの時代でした。原子力といっても当時は核分裂によるものです。現在は核分裂から核融合への期待がもたれていますが、アトムの原子力エンジンは核融合という説もあるそうですから、アトムの方が現実よりもはるかに先に行ってますね。アンドロイド型ロボットはすでに実現されていますが、感情をもたせるかどうかは議論が分かれています。核融合炉とジェットエンジンという組み合わせが現代から見ると矛盾というか無駄にも思えます。
原子力に対して最近の日本は少々ヒステリックな反原発運動がありますが、鉄腕アトムが今、世に出されたらきっと大反対運動が起こるのでしょうね。妹のウランちゃんにもバッシングがあるかもしれません。鉄腕アトムは「科学の子」ですから、当時の科学と現代科学の違いを改めて考えてみるいい材料になります。とくに超小型核融合炉の発明やその利用法は今から議論しても遅くはないでしょう。

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