原風景
原風景というのはイメージの中の世界、いわばVRなのです。「昔見たような」気にさせる風景であり実体験であることはまずありません。既視感(デジャビュ)と同じで記憶が作り出している幻想なのです。
私自身、子供の頃に古い家に住んだこともなく、囲炉裏や掘炬燵の経験もありません。ただ観光にいった古民家や写真、絵などで見たことがあるだけですが、今、なぜか懐かしい気分になります。
市助は築推定140年の本物の古民家ですが、内部は改装しています。元の家主が住んでいた時の状態とはかなり違っています。ずっと空き家だったせいで廃屋同然でしたが、それでもやや新しい家具類があり、昔の生活のままではありませんでした。それらを廃棄し、新たに古民具を買いもとめ、昔の生活の「再現」に努めていますから、原風景なのです。