語呂合わせ



このコラムを書くようになってから、今日は何の日、といういくつかのサイトをみるようになりました。参考にさせていただいているうち、多くの記念日は誕生日か命日であること、また新しい記念日は語呂合わせが圧倒的に多いことを発見しました。

それは数字の語呂合わせが普及していることと関係ありそうです。私見が狭いせいか、数字の語呂合わせというのは外国ではみたことがないので、日本語独自の文化といえそうです。歴史も年号を語呂で覚えることが当たり前で日本人の常識になっていると思います。外国で年号がスラスラ言える人を見たことありません。米国を中心とした英語圏では年号は2桁に区切って言います。たとえば2023はtwenty,twenty threeです。ヨーロッパの言語圏はだいたい同じ方式です。どうやら単語や複合語のような感覚で記憶するようです。日本語は音韻がモーラという音節であることがこの特徴を形成しているようです。そして数字に複数の読み方があることです。モーラというのは要するに五十音のことで、ア行は母音のみ、それ以外の行は子音+母音のセットになっています。例外は促音、撥音、拗音などです。1モーラは1拍というリズムを作ります。

日本語は数字に複数の読み方があり、外国人の学習者を悩ますようです。1がイチ、ヒトツのように1から10までは2つの読み方があります。例外は4がシ、ヨン、ヨッツ、9がク、キュウ、ココノツなど3つの場合もあります。古語では11以後もありましたが、現在はほぼ消滅しています。20歳をハタチ、2日をフツカのように類辞と一緒になると古語のまま残ったものもあります。そこで各数字に1モーラを与えると数字の連続が同音異義語のようになることがあります。今は変わってしまいましたが、鎌倉幕府成立が西暦1192なのでイイクニと呼んで覚えた人が多いでしょう。

数字の語呂合わせが普及したのが電話番号です。今はスマートフォンなのが記憶してくれるので必要度が減りましたが、ダイヤル式の時代は会社や商店は電話番号を覚えてもらうため、語呂合わせの工夫をしていました。少し前の時代から、日本語の2つの読み方に加えて英語も加わりました。1をワン、0をオーと読んでいます。2をto、4をforという同音異義語に読む英語の習慣も取り入れているケースもあります。

語呂合わせは同音異義語を作り出していくしくみですが、日本語は同音異義語に対して寛容で、文脈から判断できることや、漢字をイメージすることで、うまく言語処理しています。ダジャレも同音異義語で、これにハマる外国人日本語話者も多いです。世間ではオヤジギャグとして軽蔑される傾向がありますが、なぜオヤジが好むのか謎です。落語のオチの多くは地口オチという同音異義語でかなり多くのネタにあります。

語呂合わせ
2024年12月
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