バレンタイン・デー
日本のバレンタイン・デーはチョコレートの日になってしまいました。それも高級化が進んで、結果的に義理チョコが消滅、自分チョコになっていきました。男性はホッとした半面、寂しい思いをしているのかもしれません。そもそもバレンタイン・デーは女性が「普段は告白できない」愛を男性に告白する、という説が日本では信じられていたのですが、そもそもこの説が怪しいだけでなく、女性の告白はもう当たり前になってきていて、むしろ気弱な男性が告白できないことがドラマのテーマになるくらいの時代になり、意味がなくなったのがバレンタイン・デーのようです。
そもそもの始まりのアメリカでは、とっくの昔に、子供が幼稚園の先生にクッキーをあげる日になっており、今では、男性から女性にサプライズ・プレゼントをあげて、付き合ってもらうきっかけを作る日になっているようです。プレゼントにチョコレートということもあるようですが、カロリーを気にする女性には不人気なので、アクセサリなどにすることが多いようです。
日本は食品に関する記念日が異様に多い気がします。商魂たくましいといえばそうなのですが、そうしたイベントに乗りやすい国民性があるように思います。健康ブームもそうした国民性に関係がありそうです。鰻が典型なのですが、この日に食べることに異様な関心を示し、国中が盛り上がるのです。諸外国は多文化社会で、食べ物も民族食がある多様な社会なので、それぞれの宗教ごと、地域ごとに異なっています。日本も昔は地域により祝祭日も異なり、行事も食べ物も地域性がありました。今でも地域のスーパーマーケットには地域独特の食品が並びます。しかし食品の多くは工場生産で、同一のものが全国に輸送され、販売される大量生産、大量消費が普通になっています。そして食品ロスも販売段階で多く出るようになってきました。消費者の方はお店でないかぎり、賞味期限が切れても食べますし、ロスは少ないのです。
なぜ食品ロスの話をするかというと、バレンタイン・チョコレートがその典型だからです。クリスマス・ケーキにも似たような現象がありますが、大量の売れ残りはバーゲンで多少処理できても、それでも残った分は廃棄されます。この廃棄ロス分が価格に転嫁されています。大量生産はよいことずくめ、のように昔は喧伝されて、そのためのチェーンストアシステム、コールドチェーン、流通革命などがバブル景気の時代に敷衍しました。そのツケというか負の部分が今、社会にのしかかっているわけです。
そろそろ新しい経済の枠組みがでてくるのではないか、と期待しています。
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