砂漠
6月17日は砂漠化および干ばつと闘う国際デーWorld Day to Combat Desertification and Droughtです。Droughtは旱魃(かんばつ、本字はこちらです)のことです。1994年(平成6年)「国連砂漠化防止条約」(United Nations Convention to Combat Desertification:UNCCD)が採択されたことを記念して制定されました。砂漠化と干ばつへの理解と関心を深め、砂漠化防止に向けての活動を呼びかけ、国際協力の必要性を改めて考える日です。
砂漠化は乾燥した土地の劣化であり主に人間の活動と気候変動によって引き起こされます。砂漠化の原因には木材や薪、耕作のために行われる森林の大規模な伐採、熱帯雨林における焼畑農業、集中的な農業による土壌の栄養素の枯渇などが挙げられています。砂漠化と土地の劣化による影響は、地表の3分の1に及び10億もの人々の暮らしや発展を脅かしています。長期にわたる干ばつや飢饉により土地を捨て去ることを余儀なくされた人も多く、環境問題により移住を強いられた人々はすでに2400万人に上るとされているそうです。
砂漠というと日本人には「月の砂漠」のような、あるいは鳥取砂丘のような砂山を連想しがちですが、英語のdesertというのは荒野とか荒地と訳すのが正しいです。岩山があったり、何キロも草一本生えていない平地だったりすることもあります。大自然でそうなっている箇所も多いのですが、人間が木を切ったことで砂漠化した土地もあります。米国の国土の約3分の1は国有地ですが、ほぼ砂漠ばかりです。その砂漠の土地を払い下げてもらい、遥かかなたの川から運河を引いてきて窪地に貯水池を作って、そこに街づくりをする事業がいわゆるdeveloperであり、日本の不動産業者がデベロッパーと名乗るのとは全く違います。開発というのはそういうことで、山をちょっと切り開いて住宅街を作る程度の事業とは根本的な発想が違います。米国のデベロッパーが砂漠を開発して街づくりをして砂漠を減らしていくのに対し、日本の不動産業者は反対に緑の山を削ってしまうのですから自然環境を考えると正反対といえます。
現在、太陽光発電が盛んになってきていますが、世界の大半は砂漠に設置し、安定的な電力供給ができるのと、その電力により工業化への道筋ができるのですが、日本の太陽光発電は山を切り開いて緑をなくす方向なので、自然の破壊であり、そもそも太陽光発電という思想には向いていません。脱炭素化といいつつ森を削るのは矛盾しています。
旱魃も江戸時代まではかなり大変なことで飢饉に何度も襲われています。そのために雨乞いの儀式があり、今でも無形文化財として残っています。また各地に溜池があり、用水路があります。ところが今では池を埋めて宅地にしたり、用水路を埋めて道路にしてきました。先人たちの苦労を忘れて、現在の利便のためになくしてしまったものが多い現在、農業は衰退し外国輸入に頼るようになったため、経済安保のようなものが必要になってきました。食料自給は防衛でもあるのですが、明治以降の産業革命が未だ連続していて、産業構造の高次化が至上であるかのように進んできました。今更SDGsと叫んでも遅いです。実際、外国の砂漠化や旱魃について日本人は他所事と思っていますし、実際に食糧難になるまでわからないかもしれません。マスコミも食料に困っている外国の人々の報道はしますが、自分たちの危機について報道しません。この日に国連砂漠化防止条約について、どこが報道するかみものでもあります。
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