芒種


芒種

2023年6月6日は二十四節気の芒種(ぼうしゅ)です。芒種は二十四節気の一つで、定気法では太陽黄経が75度の時です。例年6月6日頃ですが、年により6月5日のこともあります。こういう表現をすると二十四節気が不安定で、昔の習慣はいい加減、という印象をもつ人がいますが、実際はそうではなく、新暦が不正確のためです。旧暦にはズレが大きく、新暦の方が、ズレが小さいことは事実ですが、新暦が完全に天体の運行を反映しているわけではありません。1年が365日というのは「常識」ですが、正確には1年は365.2425日です。つまり年を日数で表そうとするとズレがあるわけです。旧暦は年を月数で表そうとするので、ズレはさらに大きいわけです。「大きな升で測るか、小さな升で測るか」で誤差に差がでます。大きな升で測れば当然誤差も大きくなります。では1年を測る升を小さくして、1年は何秒かというと31536000秒という答えがでてきます。しかしこれは実測ではなく、1年=365日、1日=24時間、1時間=60分、1分=60秒という前提から逆算したものです。少し数字に詳しい人なら、最後がゼロ3つということを見ただけで、実測でないことがわかります。実測なら半端な数字になります。31556952秒という回答もあり、末尾が半端な数字なので説得力がありますが、実際は365.2425日から逆算して修正したものです。1日の昼の長さが変動することは実感できます。1日は地球の自転ですが、もし地球が公転していなければ1日の昼夜の長さは一定ですが、実際には太陽の周りを公転しているので、相対的な運動ですから、ズレが出ます。さらに地球の回転軸(自転軸)も回転しています。独楽の心棒が揺れているのと同じ状態です。この揺れも一定ではなく、長い時間で揺れの大きさが変わります。まとめると、地球の回転も太陽に対する公転も不安定なのです。ではどうすれば、より正確な運動をとらえられるかというと、恒星との位置関係です。恒星年という考え方です。

話を芒種に戻すと、芒(のぎ)を持った穀物の種をまく季節という意味から「芒種」といいます。芒とは米・麦などイネ科の植物の穂の先端にあるとげのような突起のことです。つまり江戸時代の暦の解説書『こよみ便覧』に「芒ある穀類、稼種する時なり」と記されているように、米などの種蒔きの時期ということになります。現在では、早生(わせ)が中心になり、実際の種まきはこれよりも早くに行われています。麦の刈り取りも早くなっています。芒種は文字通りの意味ではなくなりましたが、それでも農家が麦刈り・田植えなどでとても忙しくなる時期です。この時期に西日本では梅雨入りします。沖縄では「小満」から「芒種」が梅雨の時期にあたるところから、沖縄の方言では「小満(すーまん)」「芒種(ぼーすー)」となり、「梅雨」のことを「小満芒種(すーまんぼーすー)」と言うそうです。

このように本来の意味は変化しても、季節の変化はほぼ同じで伴う行事は同じですから、何月何日にそうするという記念日とは違い、新暦になっても1日程度の調整で行事が行われます。

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