貿易
6月28日は貿易記念日だそうです。安政6年(1859)6月28日(旧暦5月28日)、江戸幕府がアメリカ・イギリス・フランス・オランダ・ロシアの5ヵ国との間で結んだ友好通商条約に基づいて横浜・長崎・箱館(函館)の3港を開港し、自由貿易を許可する布告を出しました。貿易に携わる企業だけでなく、広く国民全般が輸出入の重要性について認識を深める日として記念日として通商産業省が1963年(昭和38年)に制定したのだそうです。(https://prtimes.jp/magazine/today/trade_anniversary/)
ちょっと待ってください。貿易はそれ以前にも勘合貿易とかありましたよ。そもそも貿易の定義は「一国の企業や個人が外国の企業や個人と行う商品の取引が貿易である。貿易を通じて、国内で生産された財貨は外国にも販売(輸出)され、外国から財貨が購入(輸入)されて国内で消費されるという国際分業が形成される」ということです。(https://kotobank.jp/word/貿易-174448)要するに輸出と輸入のことです。日本ははるか昔から大陸や半島との交流がありました。安土桃山時代からはスペイン、ポルトガル、オランダとの交易もありました。なぜ安政からにしたのか不思議です。英米仏があるからでしょうか。それとも古いものはいつから始まったのかわからないからでしょうか。国民は政府にいわれなくても貿易の重要性は誰でも知っています。
この貿易の貿という字は不思議な字です。貿易以外の使い方が知られていません。調べて見ると、どうやら元は日本語ではなく中国語のようです。英語ではtradeですが、日本語の意味に合わせるならinternational tradeでしょうね。英語圏ではtradeで国際間でも個人間でも取引の意味になります。野球の世界ではトレードは交換の意味で使われます。交換は英語だとexchangeなのですが、exchangeは両替のように機械的な交換を意味します。誰との間でも同じ比率が原則です。しかしtradeは商売なので相手によって値段が違ってもいいわけです。似たような言葉にdealingというのもあります。Dealになるとさらに駆け引きの要素が加わります。取引の場合、インチキやペテンもあるので、公正取引をfair trade、不公正取引をunfair tradeといいます。日本政府には公正取引委員会という組織があって、誇大広告などを取り締まっています。独占を監視しているのもここです。国際的にはWorld Trade OrganizationいわゆるWTOがあるのですが、国連機関のうちで現在ほとんど機能していないと揶揄されている機関の1つです。WTOは協議の場なので結論に強制力がなく紛争があってもなかなか解決に至らないことが多いようです。紛争処理手続きとして1.パネルの設置、2.パネル報告及び上級委員会の報告の採択、3.対抗措置の承認というのがありますが、現在上級委員が不足していて委員会が開けない状態にあり、最近まで事務局長人事を巡って紛争があり、機能不全の状態が長く続きました。
貿易は輸出と輸入なので、輸出が多ければ黒字ということで、それだけ儲けているということになり、国内的には良くても外国からは批判されることになります。米国は長年貿易赤字に悩んでおり、一時期は黒字国日本が目の敵にされました。それで為替を無理やり変更させられ黒字減らしをさせられた結果、国内産業が衰退という現象になり今も続いています。現在は猛烈な円安なので本来なら黒字が増えるはずですが、むしろ減少傾向にあり、一方で輸入大国になった日本は物価上昇により輸入も減少しているので、景気が相当後退していることがわかります。
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