山の日


山

8月11日は山の日という祝日です。「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する」ことを趣旨としている、そうですが、抽象的でよく意義がわかりません。Wikipediaによると、制定の経緯は

「国民の祝日として「山の日」を制定することを求める日本山岳会をはじめとする全国「山の日」協議会加盟諸団体や既に「山の日」を制定していた地方自治体、その他山岳関係者や自然保護団体等からの意見を受け、2013年4月、超党派の議員連盟「「山の日」制定議員連盟」が設立され、参加者は110名にのぼった。2013年6月30日に「山の日」制定議員連盟が開いた総会にて、6月上旬、海の日の翌日、お盆前、日曜日を祝日とする案の中から、お盆休みと連続させやすい利点があるとして、お盆前の8月12日を祝日とする案が採用された。しかし8月12日は、1985年に犠牲者が世界最多の単独事故である日本航空123便墜落事故が発生した日であり、しかも123便が墜落した場所も御巣鷹の尾根、つまり「山」という事から、御巣鷹の尾根がある群馬県選出の衆議院議員らが「JAL123便事故が起きた日をお祝いするのは違和感を覚える。これでは山の日ではなく『御巣鷹山の日』になってしまう」と懸念を示し、また群馬県知事もJAL123便事故を理由に日付の見直しを求めたことを受け、議員連盟は最終的に8月11日を山の日とすることを決定した。」とあります。要するに日付に意味はなく、政治的な理由で決められたということです。

「なお、8月11日の意味合いについて、漢数字の「八」の文字が山の形に見えることや、「11」に木が立ち並ぶイメージがあることから、都道府県の山の日で多く用いられていることを指摘する報道もあるが、ともに正式な由来ではなく、あくまで後付けの説明に過ぎない。」とあるように、後付けの説明に説得力があるため、一部はそれを信じているようです。こういう「諸説」を民間語源といいますが、意図的に諸説を作り出し、広げることで元の意味を薄めようというプロパガンダも多く、報道機関は十分に起源や経緯を調べてから正しい報道をしてほしいものです。

日本の国民の祝日は元来の意味を無視した人為的、政治的な理由で設定されたものが多くみられ、これも日本独特の文化といえます。諸外国では祝日は宗教的あるいは伝統的な行事が背景にあり、また独立記念日や戦勝記念日など、現在の為政者が決めた日が国民の鼓舞のために行事を行うのが普通です。日本の場合、旧暦が定めた季節の行事が祝日として採用されることは少なく、多くは明治政府によって、迷信として排除されてしまいました。明治政府は西洋の文明を学ぶべきで、旧来の伝統には価値を置かなかった点が特徴的です。そして太平洋戦争後の占領下の改変では明治政府の体制を廃止し、憲法を改正させましたが、キリスト教への改宗はなく、旧来の伝統の復活もありませんでした。そのため基盤思想がないまま政治的に物事が進める社会となりました。山の日はその象徴で、「動かざること山の如し」ではなくコロコロ移動するのです。

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